2008年4月6日(日)「しんぶん赤旗」
鹿児島・志布志事件でシンポ
“取り調べで権利侵害”
全面可視化求める
日本弁護士連合会第十回国選弁護プレシンポジウム「志布志事件〜国賠判決を受けて、捜査の適正化を考える〜」が五日、鹿児島市内で開かれました。二〇〇三年の鹿児島県議選をめぐる公選法無罪事件(志布志事件)を通じて、取り調べの全過程の「可視化」など捜査の適正化を求め開かれたもの。主催は鹿児島県弁護士会。
ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が基調講演しました。北海道警の裏金問題などを引き合いに、「警察の腐った部分が典型的にでてきたのが志布志事件だ」と指摘。おどしやすかし、ない事実をあるものにするという「冤罪(えんざい)の手本」「集大成だ」と厳しく批判しました。
シンポジウムでは事件に関し、被疑者と弁護人が立会人なしに接見できる権利・秘密交通権が「どのように侵害されたか」をテーマにパネルディスカッションが行われました。捜査の適正化をめぐって鳥越氏や弁護士、学者ら五人が活発な議論を交わしました。
シンポジウムに先立って志布志事件の被害者ら十一人が記者会見を開きました。自白段階での録画を導入するなど捜査機関が一部「可視化」を掲げたことについて、「無意味だ」と強く非難しました。
藤山忠・国賠原告団長は「警察の都合のよいところだけ録音・録画するのであれば、裁判員がえん罪の片棒をかつぐ可能性がある」と語りました。「踏み字」事件被害者の川畑幸夫さんは一部「可視化」が、かえって無実の人を犯人に仕立て上げるおそれがあると警鐘を鳴らしました。