2008年4月6日(日)「しんぶん赤旗」
米国 広がる生活苦
食料券支給過去最高に
【ワシントン=西村央】米国の低所得者への食料援助制度「フードスタンプ」の受給者が急増し、過去最高となりました。全米に広がっている雇用減や失業の増大、食料品の価格上昇などが背景で、景気後退(リセッション)の可能性が指摘されるなか、生活苦の広がりを示すものとなっています。
「フードスタンプ」を所管している農務省では、毎月二千六百万人に対して提供しているとしていました。ところがこの数字は、二〇〇七年度の二千六百五十万人から〇八年度は二千七百八十万人へ百三十万人増加しました。米議会予算局の見通しによると、今年十月一日から始まる〇九年度は二千八百万人とさらに増える見込み。一九六〇年代にこの制度が始まって以来最高となります。
米国では、昨年三月以来の一年間で失業者は百十万人増加しています。低信用層向け高金利型(サブプライム)住宅ローン破たんの影響が米国経済を揺るがしているなか、建築や製造業を中心として雇用数も減少を続けています。
その一方、ガソリンや乳製品、野菜・果物など生活必需品の値上がりも深刻で、いずれも二年前と比べて10%以上高くなっています。
これらが国民の暮らしを直撃しており、ニューヨーク・タイムズ紙(三月三十一日付)によると、ミシガン州では二〇〇〇年と比べ「フードスタンプ」受給者が二倍となり、八世帯に一世帯という高い比率になっています。同州は製造業の雇用減の比率が全米でもっとも高く、二〇〇〇年から二〇〇七年にかけて30%も減少しています。
フードスタンプ 米連邦政府が低所得者に対し食料を提供する制度です。一九三九年から四三年に一時実施された後、六〇年代に復活、六四年に法制化されました。農務省が所管しています。当初は紙の切符でしたが、現在は食料を購入する際に提示する電子カードとして給付されています。