2008年4月5日(土)「しんぶん赤旗」
NATO首脳会議
アフガン長期関与
ミサイル防衛で米欧連携
【パリ=山田芳進】ルーマニアの首都ブカレストで開かれている北大西洋条約機構(NATO)首脳会議二日目となる三日、加盟国二十六カ国の大統領・首相らは、アフガニスタンへの長期にわたる関与や、ミサイル防衛導入に向けた動きを加速させることなどを決定しました。
デホープスヘッフェル事務総長は「平和と安定の構築のためにアフガニスタンを援助することは、国際社会全体にとっての最優先課題」などとのべました。
これを受けて首脳会議は、NATOが指揮する国際治安支援部隊(ISAF)の戦略ビジョンを採択。「長期にわたる各国の強固で共有された関与」「アフガン国民自身のリーダーシップ強化への支援」「軍民両面にわたる国際社会の全面的支援」などをアフガン支援の原則として定め、二〇一〇年までに、アフガン軍を八万人規模に増強する目標を設定しました。
NATOがISAFの指揮権を握るようになったのは〇三年八月。ISAFは〇一年十二月のタリバン政権崩壊後、国連の仲介で首都カブールとその周辺の安全の確保を支援する有志連合軍として発足しました。
NATOが指揮権を握るのと前後したアフガン情勢の泥沼化のなかで、ISAFは活動範囲をアフガン全土に拡大。現在は米国の「対テロ報復戦争」と連携してタリバンの掃討作戦を展開しています。
デホープスヘッフェル事務総長はまた、イランの核兵器開発疑惑や長距離弾道ミサイルなど、大量破壊兵器の拡散などの「脅威」を念頭に、「われわれは新たな、進化する挑戦を受けている」とし、将来の防衛装置としてミサイル防衛が果たす役割について検討していくことを表明しました。
三日に採択されたブカレスト首脳会議宣言は、米国が主導してきたミサイル防衛システムを欧州に導入する可能性について研究すること、また適切な時期にロシアとも連携することに言及しました。
米国は同日、チェコとの間で、ミサイル防衛のためのレーダー施設建設で合意したことを明らかにしました。米国はポーランドには迎撃ミサイルを配備する計画ですが、同国との間では依然、最終合意に至っていません。