2008年3月29日(土)「しんぶん赤旗」

通院中59歳の生活保護

市の申請却下違法

青森県


 青森県五所川原市福祉事務所長が、「稼働能力を活用していない」として生活保護申請を却下したのは不当として、同市の男性(59)が、却下処分の取り消しを求めて審査請求していた問題で、三村申吾知事は二十八日までに、同市の判断を違法として、却下処分を取り消す裁決をしました。

 男性(審査請求人)は、腰部の病気で通院加療中で重労働ができず、ハローワークで求職をしたものの、仕事が見つからず、昨年十月九日に保護を申請しました。

 これに対して、同市福祉事務所長は、紹介された仕事に応募せず、県外就職の助言も拒否したなどを理由に、「就職の機会があるのに、稼働能力を活用していない」として、同月二十二日、保護申請を却下しました。

 裁決では、審査請求人は、パソコン操作ができないことや病気で腰に負担がかかる仕事ができないため、近隣の企業の面接を断らざるを得なかったもので、「稼働能力の範囲内での職が見つからなかったもので、稼働能力を活用する機会がなかった」と判断しました。

 県外での就労についても、「五十九歳という年齢、通院中であることを踏まえると稼働能力の活用を怠ったとまでは認められない」と、市の主張を退けました。

 その上で、「審査請求人は、自らの稼働能力の範囲内の就労の機会がなく、自らの力で最低限度の生活を維持できないと判断される」として、保護要件に欠けるとした市の判断を違法としました。



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