2008年3月29日(土)「しんぶん赤旗」
沖縄県民大会
「米軍から子ども守れ」
反基地のたたかい 新段階に
県民総意は日米関係の根本的再検討
赤嶺政賢衆院議員にきく
沖縄県北谷町で二十三日に開かれた「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」は、米軍基地の被害に苦しむ県民を力づけ、今後のたたかいへの展望を切り開きました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に県民大会の特徴などについてききました。
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県民大会には、台風のような豪雨のなかを参加者がはせさんじ、訴えにきき入りました。県内の全自治体が抗議決議をあげ、沖縄本島ばかりでなく宮古、八重山でも同時に集会が開かれました。
これまでにない
米軍による事件が引き起こされると社会教育団体が米軍基地と軍隊による子どもたちの人権じゅうりんを許すことができないと、いち早く立ち上がりました。
沖縄県子ども会育成連絡協議会、県婦人連合会、県老人クラブ連合会、県高校PTA連合会、県青年団協議会、沖縄戦の体験を伝えている「青春を語る会」などが一緒になって県民大会実行委員会をつくり、九十九団体が加わりました。
社会教育団体などが中心になり、各政党や各種団体に呼びかけ、県民大会を開いていくというのは、いままで沖縄では経験したことがない運動です。しかし、それは、子どもたちを守るという沖縄のたたかいの伝統をも引き継いだものです。
沖縄では、米軍の直接統治下で労働組合が認められないなかでも、教職員らが中心になって、「子どもを守る会」をつくり、運動を続け、基地撤去・祖国復帰闘争につながっていきました。
実行委員会は「県民の人権は侵害され続けている」と、(1)日米地位協定の抜本的改正(2)米軍による人権侵害根絶のための政府の実効ある行動(3)米軍人の綱紀粛正と実効性ある再発防止策の提示(4)米軍基地の整理縮小と海兵隊を含む米軍兵力の削減―を求めました。全会一致の県議会の抗議決議をもとにしたものです。
しかし、被害にあった少女・家族がそっとしてほしいと言っていることを口実に、自民党県連や仲井真弘多知事は県民大会に参加しませんでした。“少女に落ち度がある”という宣伝や週刊誌の報道もずいぶんおこなわれました。
一九五五年の「由美子ちゃん事件」(米兵による六歳の幼女暴行殺人事件)のときも、“親の方に落ち度があった”という攻撃がされました。米軍の事件・事故がおきると必ずでてくるのが“落ち度”論で、米軍への批判をそらすものです。
知事や自民党県連が少女・家族の気持ちを逆手にとってなにもしないことに、「人権侵害の根絶に力を尽くすべき政治家がとるべき態度ではない」と県民からは厳しい批判がまきおこりました。
県民大会は県内四十一市町村のうち、十三首長が参加しました。那覇市の翁長雄志市長は、元自民党県連幹事長です。大会で発言し、「これまでの(日米関係の)仕組みをご破算にし、最初から検討する決意で」「日米安全保障条約に伴う日米地位協定について根本から問いただすべきだ」と日米同盟にまで言及しました。このような発言ができるのも、その内容が県民の総意だからです。
とりわけ県民の心をうったのが、横須賀で米兵に暴行されたオーストラリア人のジェーンさん(仮名)の訴えでした。レイプの被害者が初めて壇上に立ち、沖縄で戦後ずっと泣き寝入りをしてきた人たちに、“被害者は悪くない”とメッセージを送ったのです。
あとでジェーンさんのもとに七十歳代の女性が駆け寄ってきて、「実は私も六十年前の同じ被害者だ。あなたの話をきいて生きる力がわいてきた」と会場で抱き合ったそうです。
まるでサファリ
ヨーロッパに比べ、日本の駐留米軍は凶悪犯罪が多すぎます。沖縄の海兵隊、横須賀の空母打撃群と“殴り込み部隊”を受け入れているからです。実動部隊が街をうろうろしていることは、「まるでサファリパークだ」と基地の町の町長が叫びました。
沖縄の米軍基地に反対するたたかいは新たな発展段階を迎えています。
名護市辺野古の新基地建設では、環境アセス調査のずさんさに厳しい批判の声があがっています。美しい環境を破壊しての基地建設に、世界の環境団体からも怒りの声がおき、政府を苦しい立場に追い込んでいます。
東村高江では昨年夏から半年以上座り込みが続けられ、ヘリパッドの工事を中止させています。金武町伊芸区では、キャンプ・ハンセンの射撃場着工や、爆破訓練の騒音、住宅地の六百メートル手前まで迫った山火事の発生などに、町民ぐるみの抗議行動が始まっています。嘉手納町、北谷町、沖縄市では嘉手納基地の爆音に怒りが広がり、宜野湾市でも伊波洋一市長を先頭に普天間基地の即時撤去・閉鎖のとりくみが粘り強く続けられています。県民と米軍基地の矛盾は激化する一方です。
今回の県民大会の開催はこれらの怒りを一つの流れにまとめていく上でも大きな意義を持つものになりました。
子どもを軍隊と基地から守るたたかいは、いっそう県民のなかに深く根ざしていくでしょう。「基地のある限り、事件は繰り返される」という思いをさらに発展させ、県内各地をはじめ全国の基地闘争と連帯しながらたたかいをすすめたいと思っています。
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