2008年3月28日(金)「しんぶん赤旗」
NTT訴訟
過労死認めた判決確定
最高裁 「研修強要が原因」
NTTの十一万人リストラに伴う宿泊研修のストレスで、持病の心臓病を悪化させ急死した奥村喜勝さん=当時(58)=の過労死訴訟の上告審判決が二十七日、最高裁第一小法廷(才口千晴裁判長)でありました。
研修と死亡との因果関係を認めた札幌高裁判決の主要部分はNTT側の上告を棄却し確定、損害賠償額についてのみ原判決を破棄し高裁に差し戻しました。
判決は、事実関係について改めて、奥村さんの死がリストラと研修への参加によるストレスが持病の心臓病を悪化させたものだと指摘。損害賠償の額について過失相殺を適用すべきだったとして、高裁でさらに審理すべきだとしています。
原告で妻の節子さん(61)と長男の耕一さん(32)が判決後の報告集会であいさつ。節子さんは「みなさんの応援で無事、終わりました」とのべ、「今日を踏まえ、また高裁に戻って最後まで頑張る決意です」と笑顔を見せました。
NTT東日本旭川事業所(北海道旭川市)に勤め、通信労組の組合員だった奥村さんは、NTTが二〇〇二年から実施した、五十歳退職、子会社への転籍というリストラを拒みました。同社はこれに対し、心臓病のため宿泊を伴う出張を禁じた社内規定を無視し、札幌と東京で二カ月間にわたる研修を命令。奥村さんは研修から一時帰宅した同年六月に急死しました。
一審の札幌地裁と札幌高裁の両判決は、いずれもNTT側の安全配慮義務違反を認め、原告側が全面勝訴していました。