2008年3月28日(金)「しんぶん赤旗」

それでも石原知事助けるか

新銀行東京に400億円追加出資

自・公 「責任政党」の名でツケ回し


 東京都が設立した新銀行東京への四百億円追加出資が二十六日の都議会予算特別委員会で可決されました(二十八日に本会議)。設立時の出資金一千億円を加えると都民一人当たり一万円以上の税金に相当します。日本共産党は経営破たんの責任を旧経営陣のせいにする石原慎太郎知事を論戦で追い詰めてきました。新銀行東京の構想を天まで持ち上げ、設立に賛成してきた自民、公明、民主の役割は―。


写真

(写真)400億円の追加出資の委員会採決の場面。正面奥は、賛成して起立する自民・公明委員。手前は、反対する共産・民主・生活者ネットの委員=26日、都議会予算特別委員会

■自 民

 自民党の川井重勇議員は二十五日の予算特別委の質疑で「都民に心配をかけたことは申し訳なく深くおわびする」という石原知事の答弁をもって「知事の思いは理解した。われわれも新銀行再建に向けて責任を果たし、知恵も出す覚悟だ」とのべました。さらに都民の税金を失いかねない追加出資に知事と一心同体で突き進む姿勢を表明したものです。

 林田武議員は「責任政党として大所高所に立ち苦渋の選択を行った」と採決に賛成しました。

■公 明

 都議会の現員数百二十五(定数百二十七)のうち自民党は四十八人。公明二十二人全員が賛成しないと過半数に達せず予算は成立しません。都民の怒りの広がりを受け、二十五日夜の議員団総会では「合意がまだ得られなかった」(中嶋義雄幹事長)として、対応が決まりませんでした。

 結局、二十六日の採決直前の討論で「われわれ議会と知事の責任も重大」(野上純子議員)とのべ、追加出資を「今回限りの措置」などの付帯決議を自民党と共同提案することで賛成しました。

 あくまで石原知事の強引な追加出資を擁護した公明党の責任は重大です。

参考人招致には反対 民主

 民主党は新銀行が知事に提出した詳細な調査報告書について「まずは公開することが必要だ」(田中良幹事長、二月二十六日の本会議代表質問)とのべながら、日本共産党が出した報告書の提出要求動議を予算特別委員長が採決に付さないという態度を自民、公明とともに容認しました。さらに日本共産党が新銀行東京の仁司泰正元代表執行役の参考人招致を求めたのに対し、自民、公明とともに反対し、動議を否決しました。

 質疑では「出資に賛成したことは真に受け止めて反省している」(二十五日、泉谷剛議員)と表明。反対討論の理由付けも「追加出資に賛成しうる納得できる答弁が得られたとはいえない」と歯切れの悪いものでした。

 これまで都予算に賛成し、石原知事与党として行動してきた民主党の立場も引き続き問われます。

都民の声代弁し徹底追及 共産党

グラフ

 日本共産党は新銀行東京の設立時から一貫して反対し、都民の税金をムダにしないため一刻も早く銀行経営から手を引くよう要求してきました。

 二月二十六日の本会議質問で松村友昭議員は、新銀行が出資金の一千億円を上回る巨額の累積赤字を抱えたのは知事と側近がつくったマスタープランに欠陥があったからだと指摘。「最大の責任者として私財を投げうってでも都民負担を軽減する決意を示すべきだ」と知事らに求めました。

 新銀行のマスタープランの原案では「三年後に赤字」との見通しが示されていたのを「三年後に五十四億円の黒字達成」と書き換え、ずさんな融資を広げて不良債権の山をつくったことが浮き彫りになりました。これを追及したのが吉田信夫、大山とも子、古館和憲、曽根はじめ各議員らの質問でした。

 石原知事は「マスタープランは『モデルカー』でどう運転するかは経営者の才覚」と責任を転嫁しました。党議員団は、プランの数値目標自体が専門家からみても無理があったこと、知事側近の津島隆一新銀行設立本部長(現新銀行代表執行役)が旧経営陣にマスタープラン通りに運営するよう押し付けたことを、旧役員の証言や資料を示して明らかにしてきました。

 また、新銀行東京の存続の意義がまったくないことを指摘。追加出資をやめて新銀行から融資を受けているまじめな中小企業や預金者の利益を守りながら撤退できる道を具体的に提案しました。

 インターネットの審議中継やテレビなどで党議員の質問を見た人が「知事のやっていることはむちゃくちゃ」「追及できるのは共産党しかいない」などの反響を寄せました。「朝日」二十五日付の世論調査では追加出資に反対が73%にのぼり賛成は17%、「知事に責任」が93%にのぼりました。


27日付各紙が批判

自公「党利党略を優先」

 「朝日」二十七日付は「『石原銀行』延命の重い罪」の見出し。新銀行の「再建計画は夢物語にすぎない」、知事は「都民に謝罪し、せめて月約140万円の報酬を返上するぐらいのことをしたらどうか」といい、「追加出資に賛成した与党の自民・公明両党の責任も重い」とのべています。

 「日経」は「都民にツケ回した『石原銀行』救済の罪」の見出しで、「(自民、公明)両党は党利党略を優先して都民にツケを回した」と断じています。

 「読売」は「現実味のない“再建策”によって傷口を広げることは許されない」としています。

 「東京」は、日本共産党が提出した仁司泰正・元新銀行代表執行役の参考人招致の動議を与党が否決したことについて、「民主党も新銀行設立に賛成した過去を引きずり、動議否決では与党に同調してしまった」と批判しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp