2008年3月28日(金)「しんぶん赤旗」
主張
学校統廃合
一方的な推進許さない運動を
小中学校、高校の統廃合が、都市でも地方でも、かつてない規模ですすめられようとしています。
そのやり方は、地方自治体が統廃合計画を一方的に策定し、それを住民におしつける形がほとんどです。
「地元の高校がなくなれば、町に下宿させられる余裕のある家しか高校にいけなくなる」「廃校計画が発表されて、給食の時間から笑い声がなくなった」などその影響は深刻です。
住民合意の尊重が不可欠
学校統廃合は、子どもの教育と地域社会の存続の双方にかかわります。それだけに、子どもを含む住民で統廃合の是非についてよく話し合い、合意を尊重することが不可欠です。
国は一九五六年に小中学校の「適正規模」を十二―十八学級とし、それが学校統廃合の基準となっています。しかし、子どもの教育という点では、子ども同士あるいは教師との人間的なつながりの深さ、少人数だからこそできる温かみのある教育活動など、小規模な学校のよさは広く認められています。
国際的にも、世界保健機関が「教育機関は小さくなくてはならない。生徒百名を上回らない規模」が好ましいと指摘するなど、小さいサイズの学校が志向されています。
学校が遠くなれば、通学の負担や安全面の問題もでてきます。懸念されているように、高校教育を受ける機会を奪うようなことはあってはならないことです。
学校は、運動会やお祭り、文化祭などをふくめて、地域の拠点としての役割も担っています。子どもが少なくなったからといって安易に統廃合をすすめれば、集落や地域のコミュニティーの崩壊、地域社会の荒廃という取り返しのつかない事態を招きかねません。
日本共産党は以前から一方的な統廃合に反対し、文部省(当時)に、“学校規模を重視するあまり無理な統廃合を行うことは避ける”“小規模校として残し充実させるほうが好ましい場合もある”“住民の理解と協力を得て進める”などの通達(一九七三年)を出させてきました。
この通達をも無視するような一方的な統廃合が横行しているおおもとには、自公政権の教育予算抑制策があります。政府は昨年六月、国際的にも低水準の教育予算をさらに削減する方針をかかげ、そのおもな手段として「学校規模の最適化」=学校統合をかかげました。
昨年十二月の「教育再生会議」三次報告も、「国は、統廃合を推進する市町村を支援する」と露骨に統廃合推進をうちだしました。さらに地方にたいする「三位一体」改革による地方財政の逼迫(ひっぱく)も、統廃合の圧力となっています。
一方的な学校統廃合にたいして、各地で「住民合意を尊重せよ」を合言葉にした広範な運動がひろがっているのは当然です。
住民合意を尊重せよ
計画を凍結・撤回させる地域もうまれています。大規模な高校統廃合が計画された長野県では高校生がたちあがり、首長らも存続に動きました。日本共産党県議団の提案により、募集停止の段階で議会の同意を必要とする条例が可決され、計画に待ったがかかっています。
運動は、「自分たちのことを本気で考えてくれるおとなと出会えた」と子どもに感動をあたえ、その後の教育条件の整備や地域社会を発展させる住民の共同を強める力にもなっています。「住民合意を尊重せよ」を中心にすえ一方的な統廃合に反対する運動を発展させることが重要です。