2008年3月28日(金)「しんぶん赤旗」

道路財源 09年度一般化

首相が提案 税制法案の成立前提


 年度末を目前に控え、歳入・税制関連法案が参院で審議に入れない状況にあることから、福田康夫首相は二十七日、緊急に記者会見し、道路特定財源などについて新たな修正案を提示しました。

 このなかで福田首相は、使途が道路整備に限定されている道路特定財源について、今年秋の「税制抜本改革」時に廃止し、二〇〇九年度から一般財源化するとしました。国会での論戦と国民世論の批判におされて方針転換したものです。しかし、十年間で五十九兆円の税金を道路建設に注ぎ込む「道路中期計画」については、五年間に短縮するものの「新たな計画をつくる」としました。

 このほか、首相の新提案では、年度内に歳入・税制関連法案を成立させることを前提に、(1)道路予算の「不適切な支出」を抜本的に見直す(2)暫定税率を含めたガソリンなどの税率は今後検討するなどが盛り込まれています。

 また、今後与野党の協議機関を作り、(1)一般財源化した税金の使い道や税率(2)道路計画の中身―について、さらに協議することを提案しました。

 福田首相は、一般財源化について、野党との合意が得られない場合でも、「守っていきたい」と表明。暫定税率の廃止については、「財源不足を招き現実的でない」として拒否しました。

 歳入・税制関連法案が年度内に成立しない場合、暫定税率を維持するために衆院が三分の二の多数で再可決するかどうかについては、「先のことは考えていない」と明言を避けました。

実施は08年度ただちに

市田書記局長が表明

写真

(写真)記者会見する市田忠義書記局長=27日、国会内

 福田康夫首相が道路関連法案・税制の取り扱いについて提案を行ったのを受け、日本共産党の市田忠義書記局長は二十七日、国会内で記者会見し、党の立場を述べました。

 市田氏は、首相が、道路特定財源について、二〇〇九年度から一般財源化することを明言したことを指摘。日本共産党は、特定財源が道路を際限なくつくり続ける“自動装置”になっており、一般財源化して、福祉にも教育にも道路にも使えるようにすべきだと主張してきたことを述べ、首相の表明について、「世論と国会論戦での追及に追い込まれた結果だ」と強調しました。

 そのうえで一般財源化を〇九年度からにしているのが問題だと述べ、「一般財源化するというのであれば、〇八年度からただちにやるべきだ」と主張しました。

 また、首相がこの道路特定財源と不可分の関係にある、道路中期計画の期間を、十年間から五年間にすると表明したことについて、市田氏は、総額五十九兆円もの道路中期計画は五年間であろうと、十年間であろうと、総額先にありきというところに最大の問題があると指摘しました。

 特定財源は一般財源化するといいながら、それを原資とする道路中期計画を五年にするだけで、白紙に戻すと表明しなかったことについて「整合性がない。矛盾している」と批判し、「道路中期計画を撤回するという立場に立つべきだ」と述べました。

 市田氏は、ガソリン税の暫定税率の問題に関して、ムダな道路建設を加速させる役割を果たしていることから日本共産党は反対し、税率の引き下げは当然との立場をとってきたと指摘。福田首相が会見で、四月からいったん廃止となる見込みのガソリン税の暫定税率を再議決して復活させる考えを示唆したことに対し、一般財源化にするのであれば、暫定税率を維持する根拠がなくなると述べ、再議決に反対だと述べました。



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