2008年3月23日(日)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度
列島「不信任」
窓口パンク/署名500万/地方意見書530
「年寄りをやっかいもの扱いする、その発想が頭にくる」「なんで前期、後期と区切るのか。老人に対して失礼だ」―後期高齢者医療制度の実施予定の四月一日を目前にして、高齢者の怒りが噴出しています。人口の約一割にあたる千三百万人をまったく別の保険に切り離す、世界でも例のない制度への「不信任」の声です。
実施を十日後に控え、厚生労働省や自治体の担当窓口は、高齢者からの問い合わせや苦情でパンク状態です。
とくに政府広報「後期高齢者医療制度のお知らせ」三千六百万部が新聞に折り込まれた翌二十一日には、厚労省の電話がほとんど話し中に。「広報に“問い合わせは厚労省へ”とあるのに、まったくつながらない」と怒りに拍車をかけました。
七十五歳以上の高齢者のもとに新しい「後期高齢者医療被保険者証」が届き始めたこともあり、市区町村の窓口や都道府県の広域連合にも、問い合わせが集中。「電話を取ると第一声で『全然つながらなかった。どうなっているんだ』とおしかりを受けている」(千葉県)、「十二台の電話機が、常にふさがっているような状態」(大阪府)と、現場の職員が悲鳴をあげています。
保険証を受け取った東京都稲城市の女性(78)は「七十五歳以上の者は、適当に診察して、適当に薬を出してしまえばいいと思われるのではないかと考えていたら、悲しくなって涙が出てきた」と訴えます。新聞には「長生きを喜べない社会になっていいはずはない」(愛媛新聞十七日付)と見直しを求める社説や、「有無を言わさず、『あの世に早く行け組』に編入される感じだ」(十四日付「朝日」)などの投書が紹介されています。
署名は、党派の違いを超えて広がり、中央社会保障推進協議会や日本高齢・退職者団体連合などの分を合わせて、すでに五百万人分を超えました。地方議会の意見書は、五百三十以上の自治体で可決されています。国会では日本共産党、民主党、社民党、国民新党の野党四党が共同で、制度を廃止する法案を提出しました。
今後も、野党四党が共同主催する「後期高齢者医療制度の廃止を求める決起集会」(二十六日)や、中止・撤回を求める東京大集会(二十三日)などが予定されています。
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後期高齢者医療制度 二〇〇六年に自民、公明両党が強行した医療改悪法で導入が決まったもの。七十五歳以上の高齢者が対象です。六十五―七十四歳で寝たきりや障害がある人も対象ですが、制度に入るかどうかは自分で選びます。都道府県ごとに設置された広域連合が実施主体です。