2008年3月22日(土)「しんぶん赤旗」

イージス艦衝突事故

見張り・回避不十分

防衛省が中間報告 原因・責任は不明確


 海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突した事故で、防衛省は二十一日、内部調査の中間報告を公表しました。「見張りが適切でなく、回避措置が十分でなかった可能性が高い」などとしましたが、具体的な原因やあたごの過失責任には踏み込んでいません。

 調査は、あたご乗組員約七十人からの聴取をし、機材の記録を確認しました。「海上保安庁との調整により」、当直士官だった水雷長の三等海佐(34)ら一部乗員からは聴取していません。

 防衛省側がこれまで説明していた事故当日の二月十九日午前三時五十五分ごろの灯火、同四時五分ごろの緑灯は中間報告に含まれていません。報告では、「現時点において、これらにかんする情報は得られてない」としています。

 新たな虚偽説明の疑いが持たれますが、石破茂防衛相はこの点について「一部の乗員から聞き取りしていない段階での報告で、今まで言ってきたことが誤りというわけではない」としました。

降雨で艦橋内に

 中間報告によると、見張り員や当直士官ら艦橋の当直員は、衝突約八分前の二月十九日午前三時五十八分ごろまでにそれぞれ交代。この際、見張り員は交代前も後も、降雨のためウイングに出ることなく艦橋内に配置され、レーダーは清徳丸を認識しませんでした。

 交代前の見張り員の一人は同三時半ごろ、右方向に船舶の白灯を確認。別の見張り員も同四十八分に左舷を示す赤灯を三、四個確認しましたが、「速度が遅く、目視ではっきり見えたため、当直士官に報告しなかった」と話しているといいます。

赤灯「危険ない」

 交代後の当直員は、これらの灯火について、「危険はない」などと引き継ぎを受け、同四時五分ごろまでに数個の白灯や赤灯を確認しました。

 いずれの灯火も清徳丸との関係は不明としていますが、同四時六分には、当直士官の水雷長が「この漁船近いなあ」と発言。ほかの当直員も「近い。近い」と言いながら、約七十―百メートルまで近づいた清徳丸を確認しました。この約五秒後に両舷停止に続き、後進の命令が出されましたが、間に合わず衝突したといいます。



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