2008年3月21日(金)「しんぶん赤旗」

地上げ逮捕の光誉実業

「解同」と接点

大阪・八尾市の認可ゴミ業者 事業は支部が要求


 東京都心ビルの地上げをめぐり、今月四日、「光誉(こうよ)実業」(本社・大阪市東住吉区)の朝治博社長(59)ら十二人が弁護士法違反容疑で逮捕されました。同事件が、大阪府八尾市で波紋を広げています。


 事件は、東証二部上場の「スルガコーポレーション」(横浜市)が東京・麹町の「秀和紀尾井町TBRビル」の取得をめぐり、光誉実業に地上げ資金を提供、違法な立ち退き交渉が行われたというもの。資金の一部が山口組系暴力団に“上納”されたと指摘されています。

 光誉実業は、登記簿によると、一九八四年十月に設立された不動産会社。八尾市の事業系ゴミ収集の認可業者でもあります。

 同市の「事業系一般廃棄物の収集運搬」事業は、「解同」(部落解放同盟)安中支部の要求で導入されたもの(当初七十一社、現在五十一社)。同安中支部は、八尾市発注の公共事業に関連し、二〇〇六年八月、恐喝容疑で逮捕された丸尾勇被告が支部長や相談役を務めました。光誉実業は丸尾被告の肝いりでつくられた「八尾市清掃事業協同組合」にも入っています。

 朝治容疑者は「暴力行為や強要などで二ケタを超える逮捕歴がある」「指定暴力団山口組と密接な関係」などとマスコミから指摘される人物です。

 十三日の同市議会文教産業委員会で、日本共産党の越智妙子議員がこうした事実を指摘し、暴力団員などの排除を定めた市条例施行規則をあげて市の対応をただしました。

 市側は、同社と暴力団との関係を「今回初めて知った」と答弁。「本人も勾留されており、じかに話ができない」と、事実確認さえしていないことが明らかになりました。

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 八尾市立障害者総合福祉センターをめぐる疑惑 「虹のかけはし」が法人として認可されたのは、同センター開設直前の04年2月26日。理事長の経歴は不明、法人の実績はないまま、3月市議会に「指定管理者にする」条例案が提出されるなど“手際のよさ”は異様でした。

 同法人の「評議員」(05年度法人調書)には、「解同」安中支部の丸尾勇相談役、佐伯智津子支部長、黒田隆光書記長や、民主系の徳丸義也府議らが名を連ねました。

 ほかにも(1)センター建設は「解同」安中支部の要求(2)建設を受注した企業が丸尾勇被告に数千万円の「地域協力金」を支払う(3)センターの清掃・警備を丸尾被告の妻が取締役を務める会社に委託する―など数々の疑惑が指摘されています。


「妻」が疑惑施設管理

 朝治容疑者の地上げ関与が報じられた東京・六本木の「TSKビル」の一室を所有していた不動産会社「エコロジージャパン」(大阪市)の代表取締役は朝治麻値子氏です。

 「関係は夫婦だとお聞きしています」。十三日の同委員会で、山本裕三副市長は朝治博容疑者と朝治麻値子氏の関係についてこう答えました。

 麻値子氏は、〇四年六月にオープンした八尾市立障害者総合福祉センターの指定管理者である社会福祉法人「虹のかけはし」の理事長でもあります。

 同センター建設をめぐっては、「解同」安中支部の関与など数々の疑惑が指摘されています。

 登記簿によると、エコロジー社が所有していたTSKビルの一室には光誉実業などの根抵当権が設定され、二カ月弱で転売。「(警視庁は)この取引で朝治容疑者が多額の利益を上げたとみている」(「読売」四日付夕刊)と報じられました。

 十七日の八尾市議会保健福祉委員会で、日本共産党の大野義信議員がこの問題を指摘。「指定管理者の資格にかかわる」と市の姿勢をただしました。

 市側は麻値子理事長と面談のうえ、同法人と光誉実業は「何ら直接的な関係はない。双方に関連した社員はいないと聞いた」と答えました。

 しかし、「法人調書」や登記簿によると、「虹のかけはし」の斎藤明美監事は、エコロジー社では監査役を、光誉実業でも取締役を務めています。また、エコロジー社の取締役の一人が、今回、朝治博容疑者とともに逮捕されています。

 この事実を指摘する大野議員に、市側は法人調書さえ調べていないことを認めました。

 田中誠太市長は「新たな事実関係が分かってくれば、それなりの対応を考えなければならない」と調査を約束しました。


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