2008年3月19日(水)「しんぶん赤旗」
「リハビリ制限は違憲」
4月実施 医師、差し止め求め提訴
重症患者のリハビリテーション医療に制限を設けるのは、国民の医療を受ける権利などを侵害する憲法違反の政策だとして、リハビリ担当の医師が、舛添要一厚生労働相にたいし、制限の四月実施差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしました。
提訴したのは神奈川県内の病院勤務医、澤田石順さん(46)です。保険診療ができるリハビリ医療は、二年前から九十日―百八十日の上限が設定されました。しかし、日数を超えた分は、医師が「医学上の必要性」を認めれば保険診療が可能でした。ところが、厚労省は四月からの診療報酬改定で、上限を超えた場合は、例外なく「一月に最大十三単位」(月に二日程度)までしか認めない方針を打ち出しました。重症患者の場合、必要なリハビリが途中で打ち切られると、そのまま疾病や障害が固定してしまい、寝たきりや半身まひ状態が治らなくなる恐れがあります。
訴状では、この政策は、国民に公的医療保険の受給権を保障する「国民の医療権」や、良心に基づき患者に必要な医療を施す「医師の医療権」を侵害するもので、健康で文化的な生活を営む権利を保障した憲法二五条などに反するとしています。司法記者クラブで会見した澤田石さんは「日数を超えた場合でもリハビリを続ければ回復した患者もいる。一律の上限設定は、医学上の常識を無視したものだ。患者のことを考えると黙っていられない」と語りました。