2008年3月18日(火)「しんぶん赤旗」
軍艦優先 全国で明らか
イージス艦衝突 井上議員迫る
“漁民から実態聞け”
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日本共産党の井上哲士議員は十七日の参院予算委員会で、海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船に衝突した事故(二月十九日)にかかわり、漁船が避けて当たり前だという海自の航行実態を全国の漁民が証言していることを示し、自衛隊の軍事優先ぶりを批判しました。
潜水艦「なだしお」が遊漁船に衝突した事件(一九八八年)では、海難審判庁が海自に対し、乗員への安全指導や見張りの不十分さの是正を勧告しました。井上氏が、この事件の教訓が生かされたのかをただしたのに対し、石破茂防衛相は「(教訓が)徹底できていたかは必ずしもそう言えない部分がある。きちんと検証しなければならない」と答弁しました。
今回の事故の現場海域の周辺の千葉、東京、神奈川だけで八十一の漁協があり、事故が起きた早朝は、漁船が漁場に向かう時間帯です。にもかかわらず、「あたご」艦長は「漁船が多い海域と認識していなかった」と発言しています。
井上氏が防衛省の指導責任を追及すると、石破防衛相は「海上自衛隊として、この時間、この海域に特定した特段の(混雑するという)注意喚起を行っていたということではない」と述べ、組織としての不徹底さを認めました。
「見張り」「漁船に対する措置」の問題では、「なだしお」事故後に改定された操艦マニュアル=「操艦教範」が、その重要性を強調しています。
井上氏は、教範通り実践されていないのが実態だと指摘。実際に漁民からは「(海自は)漁船はよけてくれると思い込んでいる」「自衛艦は小さい船がよけて当たり前というような航行をしている」といった声があがっていることを示し、「大臣自身が、漁業関係者から実態を聞くべきだ」と迫りました。
石破防衛相は「『そこのけ、そこのけ、イージスが通る』という批判をいただいている」「漁業に従事される方々の声を真摯(しんし)に受け止めることは当然、必要だ」と答弁しました。
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