2008年3月15日(土)「しんぶん赤旗」

北京の空 晴れよ

五輪前に排ガス規制


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(写真)空がかすみ視界が悪い北京=12日

 北京オリンピックを五カ月後に控え、中国当局が大気汚染対策に追われています。三月一日からは北京で新しい排ガス基準に合わない新車の販売を禁止。十一日に記者会見した国家環境保護総局の張力軍副局長は、五輪期間中、北京と周辺の天津市、河北省で一部工場の操業を停止することを明らかにしました。

 北京の大気汚染は五輪の悩みの種。男子マラソン世界記録保持者のハイレ・ゲブレシラシエ選手(エチオピア)が大気汚染を理由に五輪のマラソンに出場しない意向を表明しました。

 十二日に行われた楊潔箎(ようけつち)中国外相の記者会見でもこの問題が取り上げられ、外相は「既にさまざまな対策をとってきた。北京と中国の空気はしだいに良くなっていると思う」と釈明しました。

 北京市は一九九八年から大気汚染対策を実施してきました。今年はその第十四段階。北京市環境保護局によると、これまで二百余りの措置を講じ、九八年と二〇〇七年を比べると、大気中の濃度は二酸化硫黄が61%、一酸化炭素が39%減少。大気の状態が「良好」(二級)の基準に達した日は百日から二百四十六日に増えたといいます。

 今年三月一日からは北京で排ガス基準が「4」に達しない乗用車の新車販売が禁止されました。欧州連合(EU)の「ユーロ4」と同基準。一酸化炭素、窒素酸化物、粒子状物質を半分に減らすというものです。路線バスにも「4」基準の車両を順次導入しています。

 北京市は五輪期間中、警察、消防などを除き車両をナンバーの奇数、偶数で通行日分けて制限します。

 また、五輪までに北京と周辺の六つの省・直轄市で火力発電所や工場の脱硫装置の整備などを進め、五輪期間中はいくつかの工場の操業を停止。これらの対策で「五輪期間中の大気の質を保障できる」と張副局長は語りました。

 とはいえ国連環境計画(UNEP)が昨年十月に発表した北京の環境調査報告では、粒子状物質がときおり世界保健機関(WHO)基準の二倍以上になり、「空気の質は短期間や数年間で改善できない」と指摘されました。きれいな空気で五輪を成功させるにはかなりの努力が求められます。(北京=山田俊英 写真も)


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