2008年3月15日(土)「しんぶん赤旗」
新銀行問題で都議会自・公・民
真相究明にフタ
新銀行東京への四百億円追加出資を審議している東京都議会予算特別委員会で十三日、自民党、民主党、公明党の三党が旧経営陣の参考人招致を否決したうえに、三宅茂樹委員長(自民)は新銀行の調査報告書全文の提出を求める動議は採決にも付さず、真相究明にふたをする暴挙にでて、都議会の歴史に汚点をつけました。(岡部裕三)
日本共産党の大山とも子都議が出した緊急動議は、(1)新銀行の仁司泰正元代表執行役の参考人招致(2)新銀行が知事に提出した調査報告書全文と付属資料の提出―の二点を求めたものです。
経営破たんの真相を究明し、追加出資の是非を審議するうえで、不可欠であり、どうしても都民の前に明らかにすべきだったからです。
ところが三宅委員長は、参考人招致についての動議のみ採決。これを自民、民主、公明の「オール与党」三党がそろって反対に回り、数の力で押しつぶしました。
調査報告書全文の提出を求める動議は、責任逃れと真相隠しに終始する新銀行現経営陣と石原知事らに追随した、委員長の独断で採決しませんでした。動議は、必ず採決しなければならず、一存で握りつぶした委員長と、これを容認して議会制民主主義のルールを踏みにじった自民、民主、公明の責任は重大です。
8時間で一転
与党第一党の自民党はもちろん、民主、公明両党の態度もひどいものです。
同日午前の予算特別委理事会では、日本共産党が提案した参考人招致、報告書の提出に反対したのは自民党だけで、民主は二項目とも賛同、公明も報告書提出には賛同していたのです。
しかし民主、公明両党は、八時間後の委員会には、自民党に追随し、石原知事と一心同体の「オール与党」の結束の深さを見せつけました。
「与党自民、公明に加え、民主も四年前に都の一千億円の出資を認めた負い目がある、との指摘もある」(「朝日」十三日付)との報道もあります。
徹底審議こそ
数の力を頼りに、真相究明にふたをして、四百億円の追加出資に賛成する姿勢を鮮明にした自民党ですが、都民の多数は追加出資に反対し、石原知事の責任に厳しい目を向けています。
参考人招致動議を否決したうえに、報告書提出を求める動議を採決しないというのは、世論にそむく「レッドカード」です。
新銀行に追加出資をしたとしても、経営再建の展望はありません。都民の税金から出資した一千億円の税金はすでに棄損状態となり、石原知事が提案した四百億円の追加出資案を認めると、都民一人あたり一万一千円をどぶに捨てたも同然となるのです。
マスコミ各社も社説でこぞって石原知事を批判し、都議会に「税金投入の最少化が期待できる事業清算を正面から論議すべき」(東京)、「都議会のこれまでの審議で増資の妥当性は明らかになっていない」(日経)と徹底審議を求めています。