2008年3月12日(水)「しんぶん赤旗」

救急搬送受け入れられず

「3回以上」 2万4千件超

都市部目立つ 「62回」「5時間以上」も

消防庁調査


 総務省消防庁は十一日、昨年一年間の救急搬送に関する実態調査の結果をまとめました。医療機関に三回以上、受け入れ困難と断られたのは二万四千八十九件に上りました。重症患者でみると一万四千三百八十七件。このうち十回以上、受け入れを断られたケースは千七十四件に達しています。救命救急センターに搬送されるまで六十二回受け入れ不可能とされたケースもありました。同庁救急企画室は「予想を上回る厳しい実態」としており、人命に直結する救急現場の深刻な状況が浮き彫りになりました。

グラフ

 救急搬送をめぐっては、患者の受け入れ病院が素早く決まらないケースが全国的に多発。同庁は昨年、全国の消防本部を通じて二○○四―○六年の妊産婦の救急搬送に関する実態を調査しましたが、今回さらに(1)重症患者(2)妊産婦(3)十五歳未満の小児(4)救命救急センターへの搬送―の四区分で再調査しました。

 重症患者のほか三回以上医療機関に受け入れを断られたケースは、妊産婦で千八十四件、小児は八千六百十八件、救命救急センターへの搬送は六千九百九十件に上りました(重複含む)。患者を受け入れられなかった理由はいずれも、設備・スタッフ不足などによる「処置困難」が最多でした。地域別では首都圏や近畿圏などの大都市部周辺で断られるケースが目立ちました。

 医療機関に受け入れ不能とされた回数が最も多かったのは、大阪市消防局が昨年一月、吐血した三十歳代男性を運んだ事例。救急病院や救命救急センターから六十二回受け入れを断られました。

 また、救急隊が到着してから搬送先が決まるまでの時間が最長だったのは、千葉県松戸市の事例で、五時間二十五分でした。

医師不足打開 共産党は提案

 日本共産党は、命までも奪われる救急医療の深刻な実態を打開するために全力をあげています。二〇〇七年二月、「深刻な医師不足を打開し、『医療崩壊』から地域をまもる日本共産党の提案」を発表。医師数増など抜本対策を国に迫りました。今年の参院予算委では、山下芳生議員が救急医療問題をとりあげるなど、緊急課題として位置づけ、国に解決を要求しています。



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