2008年3月11日(火)「しんぶん赤旗」
続消費税なぜ なぜ問答
社会保障の財源を考える(26)
Q 基礎年金に消費税充てたら?
二〇〇九年度が、消費税増税をめぐる大きな節目になるといわれています。それは、〇九年度までに基礎年金の国庫負担が二分の一に引き上げられることになっているのに、今のところ、二・三兆円も必要とされている財源のメドがついていないからです。
国民年金の未納者が増え、年金制度の将来が危ぶまれている中で、国庫負担の引き上げだけにとどまらず、「基礎年金を全額税方式に」という声が高まっています。政府の社会保障国民会議の「所得確保・保障分科会」(三月四日)でも、「全額税方式を検討すべきだ」という議論が相次いだといいます。
日本共産党も、税財源による最低保障年金の創設を主張しています。保険料財源分による上積みも合わせた方式であり、「全額税方式」とは少し違いますが、基礎年金への国庫負担を増やすという点では同じ立場です。ただし、その財源は消費税増税ではなく、歳出の浪費の削減や大企業優遇税制の是正などによって生み出すべきだと考えています。
日本共産党と違って、「基礎年金を全額税方式に」という論者の中には、その財源を消費税に求めようという論調が目立ちます。ところが、「どれだけの消費税増税が必要か」という計算は、表のようにまちまちです。
民主党は、現行の基礎年金と同じ規模の最低保障年金を提案しています。その財源として、〇四年には「3%程度の消費税増税が必要」といっていましたが、昨年の参院選挙では「現行税率で可能」と言いだしました。しかし、これは基礎年金の給付を削減することが前提となっており、「計算根拠があいまい」と自民党から攻撃されました。
最近、額賀財務大臣が国会で答弁した試算数字のうち、引き上げ幅の小さい方(表の(1))は、現行の消費税(税率5%分)の十三兆円を全部、基礎年金に充てることを含めて、「8%台なかばまで引き上げる必要がある」というものですが、今の消費税を他の使途から引き揚げてしまえば、その穴埋めも必要です。この程度では足らないことになります。
額賀財務相のもう一つの試算数字((2))は、地方消費税など地方分の引き上げも含めた計算で、年金財源以外の分まで含まれています。自民党の「年金制度を抜本的に考える会」(会長・野田毅衆院議員)の提言(三月六日)の数字も、年金以外の分が含まれているようです。
経済同友会や日本経済新聞の研究会、自民党の麻生氏らは、5%程度の引き上げが必要としています。「日経」の試算は、基礎年金の給付総額(〇九年度見込み)は十九・四兆円であり、現状の税財源による負担が七・四兆円なので、全額税方式にするためには、あと十二兆円が必要で、消費税を5%引き上げなければならないというものです。増税額の計算に限れば、この試算が一番正確といえるでしょう。
計算は合っていたとしても、それでいいわけではありません。問題は、5%も消費税を増税することで基礎年金を税方式に切り替えたとしても、それで無年金者が救済されるのか。国民の負担は差し引きでどうなるのか―ということです。次回から、くわしく見ていきましょう。(つづく)
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