2008年3月9日(日)「しんぶん赤旗」
「地域立ち上がる時」
北海道・芽室町 病院守れとシンポ
「集約化・重点化」の名で自治体病院を切り捨てる政府と北海道のやり方で危機に直面している地域医療を守ろうと、芽室町で八日、シンポジウムが開かれました。
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十勝管内の十一公立医療機関でつくる十勝町村立診療施設協議会(宮本光明会長=公立芽室病院長)がよびかけました。名づけて「地域で守ろう町村立病院―いよいよ地域が立ち上がる時が来た!」。住民や各町村長、議長、地方議員、医療関係者ら二百四十人がかけつけ、広い会場を埋め、真剣に話し合いました。
道は、道内九十四公立病院のうち三十八カ所を診療所化する方針を打ち出し、地域住民から猛反発を浴びています。
宮本会長は「国の案も道の案も経済・利益第一でとても賛成できない。しかしこのままでは医者がいなくなり、病院がつぶれる。地域の“命綱”を守るため住民も病院、行政も連帯して頑張るきっかけにしましょう」と開会あいさつしました。
千葉県東金市で「もうお客様ではいられない」と地域医療への住民参加運動を続ける、地域医療を育てる会理事長の藤本晴枝さんが講演。わが子の熱発で医療機関に医師がいなかった体験から、たらい回し事件の背景を調べ、住民と医師の対話の場づくりが大事だと気が付いたと指摘。「住民が医師を育てる」取り組みを紹介しました。
士幌町で国保病院中士幌応援団を続ける金正義さん、広尾町国保病院の存続を守る住民有志の旗手恵子さん(日本共産党町議)、鹿追町国保病院の白川拓院長がパネル討論しました。
金さんは、酒の席で「病院が赤字らしい」「医師がやめるらしいぞ」の話が出て、「応援団をつくろう」と立ち上がった経験を紹介。地域の全戸を回り三百九十六人で団を結成し、「病院がなくなることは、住民一人ひとりにはね返る大問題です」と強調しました。
旗手さんは、道の診療所化方針が出され、住民丸ごと反対し怒っていることや、署名や対話を通じて病院を守る共同の輪が町内全体に大きく広がっていると訴えました。
白川さんは日本が高齢化率世界一なのに医療費が抑えられていると説明。「患者が満足できる医療を提供できず悩んでいるのが実態。その根源に国の低医療費政策がある」と明らかにしました。