2008年3月8日(土)「しんぶん赤旗」

主張

地方の景気

地域再生のための対策は急務


 年度末を迎えて、地方の景気の陰りが急速に広がっています。

 二月二十五日の経済産業省の拡大経産局長会議では、全国の景気判断を、昨年末に続きさらに下方修正し、とりわけ東北、北陸、四国、沖縄で悪化していると報告されました。内閣府が二十七日に発表した地域経済動向調査でも、東北、北関東、北陸の景況を下方修正しました。

 日本銀行の地方経済報告でも、全国九地域のうち四地域で悪化しており、もともと景気上昇の実感がなかった地方にとって、地域経済の衰退がいちだんと深刻になっていることを示しています。

道路財源を一般財源に

 政府・日銀の最近の報告では、地方の景気悪化の主な原因として、住宅投資の減少、石油などの原材料高騰による中小企業の経営難などをあげています。

 たしかに、原材料の高騰は中小零細企業や農業に深刻な打撃を与えており、食品などの値上げは家計を圧迫し、個人消費の減退に拍車をかけています。

 日本共産党が昨年十二月に政府に申し入れた「原油高騰緊急対策」で提起したように、便乗値上げの監視強化、石油元売りへの利益還元指導、国内備蓄放出など、物価急上昇を抑える緊急措置が必要です。

 同時に、地方経済の疲弊のより根本的な原因は、大企業中心、大都市優先の経済政策が地域経済を犠牲にして長期間続いてきたことによるものです。とりわけ大企業が史上最高の利益をあげているなかで、派遣、請負、パートなどのワーキングプア(働く貧困層)が急増し、貧困と格差が拡大してきたことが地域経済の衰退に拍車をかけています。

 日本共産党の志位和夫委員長が衆院予算委員会(二月八日)で取り上げた日雇い派遣の問題、労働者派遣法の抜本改正と最低賃金引き上げなど「人間らしく働けるルール」をつくることは、地域再生のためにも緊急の課題です。

 福田内閣は、昨年秋に発足して以来、「活力ある地方の創出」(福田首相の施政方針)、「地方再生戦略」をかかげています。しかし、政府が衆議院で強行採決した来年度予算案は、従来の大企業奉仕の政策を引き続き推進しており、地方再生とはまったく逆行するものとなっています。

 福田内閣は、道路特定財源と暫定税率の十年間延長に固執し、これが地域活性化になるとしています。

 五十九兆円という「道路中期計画」を前提に、今後十年間も無駄な道路をつくり続けるのでなく、社会保障にも教育にも道路にも使える一般財源にし、暫定税率は廃止することこそ、真に地域再生の道を開きます。

 日本共産党は、道路特定財源を一般財源化するとともに、地方財源の拡充のために、地方交付税抑制路線をやめ、その財源保障・調整機能の強化を主張しています。

軸足を大企業から家計へ

 政府予算案は、地方経済の疲弊対策として「農商工連携」の新施策という名目で、わずかな特別枠を設けています。しかし、肝心の中小企業対策費は一般会計全体の0・21%にすぎず、農業再生の見通しも見えてこない予算案となっています。

 日本共産党は、「大企業から国民・家計に軸足を移し、日本経済をたてなおす予算に」という抜本的な予算組み替え要求を提案しています。

 地域経済の再生のためにも、経済政策の軸足を大企業から家計(社会保障、雇用、農業、中小企業、地域経済など)に移すことです。


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