2008年3月5日(水)「しんぶん赤旗」

国会の視点

審議尽くし問題点明確に

道路特定財源 高まる反対世論


 ガソリン税の暫定税率を十年延長し、五十九兆円もの税金を高速道路中心の道路建設につぎ込む、政府の道路特定財源関連法案―。政府・与党は二〇〇八年度予算案とともに衆院で採決を強行しましたが、国会論戦を通じて、これに反対する国民世論は増えつづけています。参院では、さらに問題点を徹底審議し、一般財源化に足を踏み出すことが求められています。

深まる不信

 今月に入って発表された世論調査を見れば、多くの国民が道路特定財源に固執する政府案に納得していないことは明白です。

 「朝日」の四日付の世論調査では、一般財源化に「賛成」が59%で、「反対」が30%。前回二月調査よりも「賛成」は5ポイント増え、逆に「反対」は5ポイント減少しました。ガソリン税をめぐる問題での福田首相の姿勢や対応についても、「評価する」18%に対し、「評価しない」は66%にものぼります。世論は政府案に理解を示すどころか、逆に不信を深めていることは明りょうです。

 「毎日」三日付の世論調査でも、「中期計画」に沿って道路整備を進めることには「賛成」19%、「反対」75%と圧倒的多数が政府案に疑問の意思を示しました。

 これらの世論調査には、積算根拠も示せない「中期計画」の問題点や、道路だけを特別扱いして、課税を続ける道路特定財源の不合理さが審議の中で次々と明らかになるなど、あまりにもずさんな政府案の実態が反映されています。

 「中期計画」は、バブル期に作られた一万四千キロの高速道路建設に加え、約七千キロの大型道路や東京湾口道路など六つの海峡横断道路まで候補路線として盛り込まれています。これには、与党議員も「まだつくるのか」と、あきれるほどです。

努力見えず

 国会審議の過程では、政府自身も「見直し」や「修正」を口にする場面が増えています。ならば、政府案を根本から見直させるための徹底審議こそ求められます。

 それなのに、政府・与党は、衆院での採決強行につづき、参院でも、予算委員長が「職権」で、委員会審議の日程をごり押しするなど、まともな審議実現への努力をまったく見せていません。

 一方で、野党の側にも「一週間は審議に入れない」(民主党の山岡賢次国対委員長)というような態度があります。これでは、道路問題での徹底審議でさらに政府を追い詰めるチャンスをみすみす逃してしまうことになります。

 国会にとって、さらに野党にとって最も大事なのは、徹底した審議をおこない、法案の問題点を明確にすることです。とくに現在は、道路問題だけでなく、イージス艦衝突問題、福祉や暮らしの立て直しなど、徹底した審議が必要な課題が山積しており、一刻も早く参院予算委員会での審議に入ることが必要となっています。 (佐藤高志)


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