2008年3月4日(火)「しんぶん赤旗」
「君が代」訴訟 卒業生が証言
話し合い許されず徒労感
東京都教育委員会の「日の丸・君が代」強制に従わなかったことを理由に処分された都立学校教職員百七十三人が、処分取り消しなどを求めた裁判の口頭弁論が三日、東京地裁(中西茂裁判長)で開かれました。都立高校の元生徒が、強制によって卒業式で生徒の自主的な活動ができなくなったことを証言しました。
原告側証人として卒業式について語ったのは二〇〇六年三月に都立高校を卒業した女性。当時、生徒会の卒業式委員長を務めていました。
女性は自身のいた高校は「生徒の自主的な活動を尊重してくれる学校で、生徒間で議論する中で正しいことを見つける力をつけることを重視していた」とのべました。
しかし、卒業式については校長から「厳粛な式にするように」といわれ、「日の丸・君が代」は「決定したことだから」と議論することも許されませんでした。答辞の原稿を事前にチェックされたり、「どんな式にしたいか」というアンケートもやめさせられかけたとのべました。
また、「君が代」の斉唱のとき、自分が起立しなければ学校や教師に迷惑がかかると考え、やむをえず起立したことを証言。「三年間の学校生活で徹底的に話し合ってお互いの考え方の違いを受け入れ合うことを学んだが、卒業式だけは生徒たちで決めたことはほとんどなく、徒労感だけが残った」と語りました。
同じく原告側証人の都立高校元校長は、従わないものは処分するという、都教委の異常な強制のもとで「学校の裁量権がまったくなくなり、教員の教育活動への意欲が奪われた」と証言しました。
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