2008年2月29日(金)「しんぶん赤旗」

続消費税なぜなぜ問答

社会保障の財源を考える(22)

Q 高速道路どこまでつくるの?


 「道路の中期計画(素案)」では、全国一万四千キロの高速道路を、すべて建設する方針が示されたといわれます。これは、どういうことでしょうか。

 いわゆる「高速道路」の一万四千キロというのは、一九八七年に策定された「第四次全国総合開発計画(四全総)」で示されたもので、政府は「高規格幹線道路」と呼んでいます。「高規格幹線道路」には二種類あります。一つは、「国土開発幹線自動車道建設法」という法律で路線が指定された高速自動車国道(一万一千五百二十キロ)で、もう一つは、国土交通大臣が指定する一般国道自動車専用道路(二千四百八十キロ)です。前者は、東名高速道路や東北自動車道など、後者は、首都圏中央連絡道(圏央道)や本四架橋道路などです。

 高速自動車国道のうち、整備計画が策定されたのは九千三百四十二キロで、そのうち七千五百五十三キロが、今年度末までに供用される予定です。二〇〇五年の道路公団民営化に際して、政府は、当時未着工だった区間を含め、九千三百四十二キロについては、すべて建設することを決めました。そのうち八百二十二キロについては、借金をして有料道路としてつくったのでは採算が合わず、借金返済の見通しが立たないため、「新直轄方式」といって、すべて税金(国と地方が三対一で負担)で建設することにしました。整備計画が立っていない区間については、さらに採算の見通しがないため、つくるかどうかも含めて「白紙」(小泉首相、当時)とされていました。ただし、実際には表のように、整備計画外の区間でも「A´路線」(表の注釈参照)として一千キロ以上が事業化され、そのうち七百十二キロは、すでに供用されています。

 今回の素案では、当時「白紙」とされた区間についてもすべて建設し、一般国道自動車専用道路の未整備の分も含めて、一万四千キロの高規格幹線道路すべてを建設する方針を打ち出しています。素案では、新たに整備する区間については、第二東名道路や圏央道など一部の路線を除いて、ほとんどの路線を有料道路ではなく無料の道路として建設するとしています。つまり、すべてを税金に頼って建設するというわけです。これまで以上に、道路特定財源が高速道路建設に注ぎ込まれることになります。

 さらに、この一万四千キロとは別に、「地域高規格道路」の整備が予定されています。地域高規格道路は、すでに大臣が指定した路線だけでも約七千キロもあります。この中には、東京の首都高速道路(整備中の区間を含む総延長三百二十二キロ)、阪神高速道路(二百六十四キロ)、名古屋高速道路(八十一キロ)、福岡高速道路(五十七キロ)、北九州高速道路(五十キロ)、東京湾アクアラインなども含まれており、広い意味では、これも高速道路です。まだ指定されていない「候補路線」には、東京湾口道路、伊勢湾口道路など、六つの巨大横断道計画まで含まれています。

 地域高規格道路も含めれば二万キロを超え、地球を半周する距離です。この狭い日本の中に、地球の裏側まで届くような距離の高速道路を建設する必要性が、いったいどこにあるのでしょうか。(つづく)

表

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