2008年2月29日(金)「しんぶん赤旗」
国連アフガン特使
後任決まらず空席続く
治安悪化・NATO混迷
アフガニスタンの治安や復興活動の調整などで強い権限を持つ国連アフガン特使のポストが、昨年十二月以来、空白のままです。人選が難航するなか、有力候補として名前が挙がっていたカナダのマンレー元副首相も二十七日、“国内事情”を理由に就任の意図を否定しました。
ロイター通信によると、マンレー氏側が就任固辞の理由としたのは、「時期」が悪いということです。
カナダは、“激戦”が続くアフガン南部に展開する二千五百人規模の駐留軍を二〇一一年までに撤退すると発表したばかりです。当初〇九年二月までとしていた駐留期限を延長したものの、他のNATO諸国が南部に千人規模の増派をしなければ、早期の撤退もありうるとの立場です。議会で多数を握る野党側が駐留延長に慎重・反対の立場だけに、政局は不安定です。
マンレー氏周辺は「いま就任するには時期が良くない。政府のアフガンへの立場がぐらついている」とのべています。
カナダでは、アフガン南部への展開で兵士に死傷者が増えていることに批判が高まっています。こうした声をふまえ、米国のゲーツ国防長官らはNATO諸国にアフガン南部に増派し、“荷を分かちあう”よう強く要請しました。
しかし、アフガンへの派兵そのものに反対世論が強いドイツなどは、南部への派兵を拒否。今月開催されたNATO国防相会議では、結論がえられませんでした。
一方、英独両国などからは、アフガン情勢の打開に向け、民生支援など政治解決を重視する声があがっています。
こうしたNATO諸国の混迷ぶりが、国連特使人事の難航に拍車をかけています。
マンレー氏が浮上する前には、ボスニア復興問題に取りくんだ英国のアシュダウン氏が有力視されていました。しかし、アフガニスタンのカルザイ大統領自身が反対して、つぶれました。大統領の権限と特使の権限との調整がついていないというのが理由とみられます。
後任特使には現在、ノルウェーの外交官・エイデ氏の名前が挙がっています。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は三月六日までに新特使を指名したい意向です。
国連アフガン特使 国連安保理の決議に基づき設置された国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)の委員長で、正式名称は国連事務総長特別代表です。復興支援全体を調整する権限を持ち、権限の強化も検討されています。〇六年二月に就任したケーニヒス氏が〇七年十二月に退任して以降、空白になっています。