2008年2月29日(金)「しんぶん赤旗」
米艦載機の岩国受け入れ
福田市長「基本的に協力」
共産党 「市民の声まず聞け」
二十八日に開会した山口県岩国市議会定例会で、福田良彦市長が施政方針演説を行い、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移駐について「基本的には協力すべきものと認識している」とのべ、艦載機移駐受け入れを表明しました。
福田市長は、空母艦載機の移駐について、周辺環境が悪化する場合や安心・安全対策が不十分なときは「容認しない」とし、市民の声を十分聞いてから国と交渉すると強調。同時に、移駐受け入れが前提となる再編交付金の獲得に努めるとしました。
質疑で「交付金を受け取った後で国に対して『艦載機移転ノー』と言えるのか」と問われた福田市長は「国のいいなりにはならない」と強調しましたが、「ノー」と言うかどうかは「現時点では言えない」と態度をはっきりさせませんでした。「容認ではないのか」と問われると福田市長は「市民の声を集約し国と協議する。容認ではない」と繰り返しました。
日本共産党の大西明子市議団長は「市民の声を聞かずに容認をしたのは許せない。とにかく国から金を引き出そうという魂胆がみえみえです。市民の意見を聞くのが先です」と話しています。
「市長が代わってどうなるかと思って、初めて傍聴に来ました」という基地近くに五十年住む女性(74)は「飛行機が増えて一番困るのは私たち。騒音や犯罪が心配です。安心して暮らせるやすらかな環境であってほしい」と話しました。
解説
事実上の移駐容認
福田良彦市長が、「負担の緩和に一定の配慮がなされていることから、基本的には協力すべきもの」とのべたことは、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移駐を事実上容認するものです。
記者から「受け入れ容認か」と問われ、福田市長は「容認ではない」と繰り返し否定、「これから市議会や市民と相談し、防音区域の拡大や飛行コースの見直しなど国と交渉していく」と答えました。
福田市長は、空母艦載機移転の是非が最大の争点としてたたかわれた市長選で、具体的な政策として、小学校の耐震化、小学六年生までの医療費無料化、給食費や保育料の減免などをあげ、その財源に米軍再編交付金を活用するとのべていました。
国は、米軍再編を容認した自治体に米軍再編交付金を交付するとしています。「容認」していない自治体に交付されることはありません。
福田市長が「基本的に協力すべき」として、国とは何の具体的な交渉もせずに事実上容認したのは、国から何らかの財政支援を得たいからではないでしょうか。
市長選は、きん差であり、世論調査では、六割の市民が艦載機移転に反対しています。福田市長は、その民意を踏まえ、自身が語ったように「市民の声によく耳を傾け」「市民の不安を一つひとつ払しょく」していくことに最大限の努力をつくすことです。(山口県・松尾俊則)
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