2008年2月28日(木)「しんぶん赤旗」
川崎政党機関紙訴訟
思想の自由を侵害
原告側 法学者の意見書提出
神奈川県川崎市が実施した幹部職員への政党機関紙購読調査は憲法違反だとして、市職員(当時)六氏が市に、謝罪広告・損害賠償を求めている裁判が二十六日、横浜地裁川崎支部で開かれました。原告側は、同調査が憲法の思想・良心の自由を侵害するとする右崎正博独協大法科大学院教授(法務研究科長)の意見書を提出しました。
同調査は二〇〇三年、共産党市議が圧力をかけて市幹部に「赤旗」を購読させているとの公明党市議の質問に応え、阿部孝夫川崎市長が係長以上の市職員全員を対象にアンケートを実施したもの。
意見書は、憲法が「内心の自由」を、絶対的に保障し国家が立ち入ってはならないものとしたことを強調。同調査の「市議から購読の勧誘を受けたとき圧力を感じたか」との質問は、公権力である地方自治体が内心の価値判断に干渉し、個人の「内心の表白を求めるもの」と指摘し、「購読したか」との質問は個人の内心の自由と密接にかかわる事項を問うことであるとしました。
また、同調査が職務上の指揮命令系統を使い公務として遂行されていることをあげ、「実質的な強制の要素を含んでいる」とし、「賛成しない者を異端の者として露見させるもの」であると指摘。内容も方法も公権力による「思想・良心の自由を保障する憲法が許容しないもの」と結論付けています。