2008年2月27日(水)「しんぶん赤旗」

公立病院の経営難

国主導で過大投資

衆院委 塩川議員が追及


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(写真)質問する塩川鉄也議員=26日、衆院総務委

 日本共産党の塩川鉄也議員は二十六日の衆院総務委員会で、地域医療の中核を担ってきた公立病院が各地で経営難に陥っている問題を取り上げ、国の責任を追及しました。

 十九日の衆院本会議で、福田康夫首相は塩川氏に対して、バブル経済崩壊後に政府がとった公共投資の大幅増政策が、公立病院の過大な施設建設を招き「経営悪化の一因となった」と認めています。

 塩川氏は、北海道の市立赤平総合病院(赤平市)の経営悪化のケースをとりあげました。赤平市は赤字の理由を「(一九九三年、九四年の)診療所・管理棟の改築等による起債償還額が、毎年約二億五千万円あり…負担が大きい」(「広報あかびら」)としています。塩川氏は、病院事業債に上限をかけていた病院施設の標準面積、標準単価を取り払うなど、国の積極的関与なしに地方の過大な公共投資はなかったのではないかとただしました。

 増田寛也総務相は「最終的には各自治体の自主的な判断」と地方に責任転嫁しました。

 塩川氏は、旧自治省が自治体単独事業を拡大するため、「単独事業推進相談室」までつくって公共投資を推進した実態を当時の新聞記事を示して立証。国が地方単独事業の上積みを求めた九二年ごろから起債が急増しているグラフも突きつけ、「国が主導的な役割を果たしたことは明らかだ。責任は免れない」と迫りました。

 増田氏は、「国が一体となって実施してきた当時の状況は理解している」と述べる一方、「地方にも安易に乗ってしまった責任がある」との答弁を繰り返しました。

 塩川氏はさらに、普通交付税の減額が公立病院の経営悪化を招いていることを指摘。総務省が昨年十二月に発表した「公立病院改革ガイドライン」で、交付税の算定指標を病床数から病床利用率に変更したことについて、「利用率の低下には医師不足がある。公立病院に経営責任があるかのようなやり方はやめるべきだ」と批判しました。


 病院事業債 地方自治体が公立病院を建設・改修する際や、医療機器の購入などにあたって発行できる債券(借金)。九二年までは、起債の対象事業費を抑えるために、標準面積は一病床あたり六十五平方メートル(大学付属病院等)、標準単価は診療部門一平方メートルあたり十四万一千五百円(鉄筋コンクリート造り)など、面積や単価に上限額が設けられていました。九三年にこの上限枠が取り払われました。

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