2008年2月26日(火)「しんぶん赤旗」
性教育巡り養護学校長不当処分
都に取り消し命令
東京地裁
障害を持つ子どもたちに性教育を行っていた東京都日野市の都立七生養護学校の校長ら教職員が、都教育委員会から処分を受けた問題で、元校長の金崎満さん(60)が都に対し、降任などの処分の撤回を求めていた裁判の判決が二十五日、東京地裁でありました。渡辺弘裁判長は、処分は裁量権の乱用にあたり違法だとして都に処分の取り消しを命じました。
都教委は二〇〇三年九月に「不適切な性教育」を行っていたとして、金崎さんを処分したと発表。しかし、その後の説明では、いっさい性教育の問題について触れず、「学級編成の不適正」など別の理由を持ち出し、停職一カ月と教諭への降任の処分を強行しました。
判決は、「学級編成の不適正」を認める根拠はないと判断。その他の理由を考慮しても処分は「社会観念に照らして重く、裁量権を乱用している」としました。
金崎さんは判決後の会見で「判決は都教委のずさんで強引なやり方を厳しく断罪した」とのべ、都教委は控訴せず、判決に従うよう求めました。
また、都教委の処分について「本質は学校そのものが都教委の強制・命令によって意のままに動く学校へと変えることではないか。見せしめ的な処分であったといってもいい」と批判しました。
東京都障害児学校教職員組合の白瀬美弘委員長は、金崎さんへの処分が与えた影響について語り、「判決は学校現場、特に子どもたちにとって豊かな教育をつくっていくための大きな励みになる」とのべました。
七生養護学校事件 東京都立七生養護学校では、障害を持つ子どもたちが自分の体をきちんと理解できるよう、きめ細かな性教育を実践。保護者からも支持されていました。この実践を自民、民主両党の都議が「過激性教育」と攻撃。都教育委員会は教材を没収するとともに、校長だった金崎満さんら教職員を大量に処分しました。
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