2008年2月22日(金)「しんぶん赤旗」
続消費税なぜなぜ問答
社会保障の財源を考える(17)
Q 公共事業の浪費の実態は?
一九九〇年代のなかばには、アメリカから押しつけられた「十年間で六百三十兆円」の公共事業基本計画のもとで、日本の公共事業費は年間五十兆円規模に達していました。しかし、その後減少し、今では最高時の半分くらいになっています。こうした現在でも、公共事業の浪費は存在するのでしょうか。
減ったとはいっても、日本の公共事業費は、欧米諸国に比べれば、まだ高い水準となっています。とくに、道路、港湾、空港などの土木事業の分野では、日本の多さが目立ちます。
図は、経済協力開発機構(OECD)の国民経済計算の統計(二〇〇五年データ)によって、政府の公共投資額(用地代などや公的企業による投資を除く)に相当する「一般政府総資本形成」の額の、国内総生産(GDP)に対する比率を比較したものです。これを見ると、全分野の合計では日本はフランス、スウェーデンより少し多い程度です。しかし、いわゆる公共事業に類する事業分野を多く含む「経済業務」(道路・空港・港湾など)、「環境保護」(下水道・廃棄物処理など)、「住宅・地域アメニティー」の三つの分野の合計で比較すると、日本は欧米の二―三倍の水準です。欧米の政府投資で多いのは、病院や学校建設などの分野であり、こうした分野では逆に、日本の方が少なくなっています。
こうした外国との比較でもわかるように、日本の公共事業は、道路や港湾などの土木事業的な分野の比重が高くなっています。とくに、公共事業費が全体として削減される中で、高速道路やスーパー中枢港湾など、大型公共事業に予算が重点配分される傾向が強まっており、生活道路や住宅、学校、福祉施設、交通安全対策など、生活に身近な分野の予算が年々切り詰められています。
国の〇八年度予算でも、公共事業予算が3・1%減となる中で、スーパー中枢港湾の整備が14・7%増、三大都市圏環状道路整備が1・8%増となる一方、住宅対策(4・4%減)、水道(6・1%減)、下水道(5・2%減)、都市公園(5%減)などは、公共事業全体より大きな減となっています。
「国際コンテナターミナルを整備したが、船が全然来ない」とか、「すぐそばに立派な国道があって、車もすいているのに、高速道路をつくっている」などという事例も少なくありません。一方で、「予算が少なくて老朽化した校舎を修繕できない」という市町村もあります。
公共事業の予算配分を見直して、生活・福祉・環境・防災などに重点を置いた配分にしていくことが必要です。(つづく)
|
■関連キーワード