2008年2月22日(金)「しんぶん赤旗」

イージス艦衝突

浮かび上がった重大な問題点

志位委員長が記者会見


 日本共産党の志位和夫委員長は二十一日、国会内で記者会見し、イージス艦衝突事故について、次のように述べました。


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 一、昨日、(沈没させられた「清徳丸」が所属する)勝浦の漁協の方々と僚船「金平丸」の船長、行方不明になっている吉清船長の弟さんにお見舞いを申し上げ、事情をうかがった。現地は非常に激しい怒りに包まれている。いまだ二人の親子は行方不明だが、弟さんは「船乗りならば、この寒い気候のもとで海に放り出されたらどうなるかは分かっているはずだ。船に乗る資格はない。日本を守る資格などない」と自衛隊への強い憤りを表している。日本共産党として、あらためて強く抗議するとともに、一刻も早い被害者の救助と徹底した真相究明を求める。

注意・回避義務怠った海自艦

  一、現地で、いくつか重大な問題が浮かび上がってきた。第一に、イージス艦が注意義務、回避義務の双方を怠ったことは、疑う余地のないことだ。イージス艦は数百キロ先を確認できる最新レーダーを搭載し、見張り員も立っており、言い訳はできない。漁協関係者は今日(二十一日)の記者会見で、三十分前にはわかっていたはずだと強く指摘している。

根本問題に軍事優先の考え

 一、第二に、根本問題としては、軍事優先の考え方がある。現場海域では、事故が発生した午前四時ごろは、日の出の時刻に漁場に到着すべく航行する漁船と、東京湾に入る大型船が交差する極めて危険な時間帯だ。最も注意を払うべき海域と時間帯であったにもかかわらず、注意をおこたっていたという意味でも、ますます責任は重い。

 海のルールでは、右舷に船を見つけたら、その船に回避義務が生じる。ところが漁協で聞いたところでは、大きな軍艦などは、たとえ右舷に船を見つけても回避行動はとらず、回避義務のない漁船が回避行動をとるのが日常の実態だという。はっきりいえば、「そこのけそこのけ、軍艦が通る」という、まさに軍事優先の状態になっている。房総の海が、無法の海になっている。そして、国民の生命と安全を守るべき自衛隊がそういう無法を犯している。これは許しがたいことだといわなければならない。

石破防衛相の責任は重大

 一、しかも、石破防衛相は、自衛隊が発表する情報をただうのみにして垂れ流している。たとえば当初、発見時刻を二分前だったといっていたのに、そのあと十二分前だという話になった。しかしこれも、漁協関係者に、三十分前には発見していたはずだと手厳しく批判をされている。

 こういう事故が起きたら、みずから真相を究明し、自衛隊を厳しくただすのが防衛相の仕事のはずだ。自衛隊の出す情報をただ垂れ流しているという対応では、防衛大臣失格だといわざるをえない。したがって日本共産党は、石破防衛相の罷免を強く求める。当然、福田首相の任命責任も逃れられない。

東京湾入り口に危険な軍港 これでいいのか

 一、第三に、根本を考えると、東京湾の入り口に横須賀港という軍港を置いたままでいいのかという問題が問われると思う。この軍港の最大の問題点は、米軍の空母の母港だということだ。この空母を原子力空母に置き換えようという動きが起こっている。横須賀港を本拠地にしている海上自衛隊のイージス艦や護衛艦というのは、まさに米空母を守ることを本業としている。そういう危険な軍港をこのままにしておいていいのか。まず、横須賀の空母の母港化はやめさせる。原子力空母の母港化などはもってのほかだ。そして、米軍、自衛隊の基地をなくす方向で、抜本的な対応をする必要があるということを強く言いたい。



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