2008年2月14日(木)「しんぶん赤旗」

派遣先も賠償責任

東京地裁判決 偽装請負の労災死


 偽装請負で働かされ労働災害で死亡した青年派遣労働者の両親が、「安全対策を怠った」として派遣先と派遣元に損害賠償を求めた裁判の判決が十三日、東京地裁でありました。山田俊雄裁判長は、偽装請負で働かされていたと認め、派遣先・元に約五千二百万円の賠償を命じました。原告側によると、労災で派遣先にも賠償を命じたのは極めて異例だといいます。

 訴えていたのは、死亡した飯窪修平さん=当時(22)=の両親、慎三さん(58)と可代美さん(55)。

 修平さんは二〇〇三年七月、テクノアシスト相模(神奈川県相模原市)から同市内の大和製罐(東京都中央区)工場に派遣され、高さ九十センチの脚立に乗り、高さ二メートルのラインを流れる缶の検査作業に従事。脚立の足場は四十センチと狭く、安全柵や命綱もなく、八月二日、一人で作業中に転落し、十一月八日に死亡しました。

 当時、製造業への派遣は禁止でしたが、テクノ社と大和側は請負契約を結んでおり違法ではないと主張していました。

 判決は、「実質的に大和製罐の指示のもとに労務提供を行っており、使用従属の関係が生じている」と偽装請負を認定。「危険のない作業台を使用させる安全配慮義務に違反した」としました。

 記者会見で慎三さんは「派遣や請負で働く人の安全が粗末にされているのをなくしたいと裁判を起こした。同じような状態にいる人が安全に働けるようになってほしい」と語りました。川人博弁護士は「派遣先にも責任を認めた意義が大きい。製造業への派遣が増えているもとで、働く人の安全を守るように経営者に警告を発するものだ」とのべました。相模原労基署は〇三年、業務災害と認定し遺族への補償金支給を決定しています。



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