2008年2月13日(水)「しんぶん赤旗」
医師6人 全員退職
なくなる内科/患者どうなる
北見赤十字病院
オホーツク圏で唯一の救命救急センター
共産党が緊急調査/根本に国の低医療費政策
北海道北見市の北見赤十字病院(小澤達吉院長、十六診療科、六百八十床)はオホーツク圏で唯一、地域医療を支援する地方センター病院です。六人の内科医全員が退職を申し出、三月末で内科診療停止に追い込まれる事態になり患者や市民に衝撃が広がっています。日本共産党の紙智子参院議員、宮内聡衆院北海道比例候補は十一日、緊急調査に入り、市長や院長、医師会、市民と懇談しました。(富樫勝彦)
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北見市(人口十二万七千人)がある網走管内は、新潟県とほぼ同じ広さでオホーツク海の海岸線は二百八十キロあります。
同病院は、地方センター病院として重篤患者を受け入れ、高度医療を提供、管内で救命救急センターはここだけです。内科では、リウマチや膠原(こうげん)病など難病の専門治療もしています。
14→6→0
内科医は減り続け、六年前に十四人だったのが昨年は六人に半減。そのうえ医師の交代や転出が相次ぎ、残る医師全員が一月下旬、診療体制が維持できないと三月末での退職を表明しました。内科では二月から外来・入院とも新患受け付けをストップし、入院患者の転院をすすめています。
自らが膠原病を患う北海道難病連北見支部の加藤禎子事務局長(65)は「内科の専門医がいなくなるのでショックです。代わりの先生もいません」と嘆きます。症状が安定しているので、月に一度通院ですが、もし悪化すると、三時間かかる旭川まで出かけなければなりません。「三月までになんとか解決してほしい」と切々と訴えます。
内科医が総退職した背景には、医師不足と過密労働があります。
同病院の荒川譲二副院長は「ほかの産婦人科や小児科も三百六十五日体制で、宿直の翌日も夕方まで診察し、非常に過酷な勤務」といいます。
小澤院長は「(医師確保に)医師養成の三大学をすべて回り、日赤本社にも要請しましたが、見通しが立たない」と頭を抱えます。紙氏らに(1)病院勤務医の確保(2)患者を地域ごとに診る医療体制―を要望しました。
ドミノ倒し
政府は医師数の抑制を続け、自治体病院の「集約化・重点化」を推進。北海道はそれを先取りして、地方の自治体病院の診療所化を打ち出しています。自治体病院が縮小・廃止されると中核病院やセンター病院への患者の集中が加速します。
神田孝次市長は紙氏らに「医師不足と過重負担がドミノ倒しになっていくのが一番怖い。負担が次々と広がり、倒れていく事態は何としても防ぎたい」と話します。
命守る問題
北見医師会は緊急会議を開き、「患者への被害を少しでも食い止めよう」と、赤十字病院の夜間急病センターに夜間だけは交代で医師を派遣することを決めました。
古屋聖児会長は「問題の根本には、国の低医療費政策があります。先進国に比べても日本の医師数は圧倒的に少ない」と指摘。そして、「これは党派を超えてとりくむべき問題です。すぐ反応してくれたのは、自民党とおたく(共産党)だけですよ」と語りました。
紙、宮内両氏は「医療費抑制政策と医師不足を国民の命を守る問題として真剣に見直すことが緊急に求められています。病院と開業医、行政、患者・住民が連帯して声をあげていくことに呼応して、日本共産党も国会内外で全力をあげます」と話しました。
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