2008年2月13日(水)「しんぶん赤旗」
続消費税なぜなぜ問答
社会保障の財源を考える(14)
Q なぜ米軍に3兆円も?
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日本の軍事費で異常さが目立つのは、米軍への「思いやり予算」です。
「思いやり予算」がはじまったのは、一九七八年のこと。日米安保条約にもとづく「米軍地位協定」では、基地などの提供施設の地代を別にすれば、在日米軍の経費はアメリカ側が負担することになっています。にもかかわらず、当時の金丸信防衛庁長官が「思いやり」と称して、米軍経費の一部を日本が負担するようにしたのです。
当初は、基地労働者の福利厚生費の負担だけでしたが、七九年からは米軍の施設整備の負担もはじまりました。これまでに整備された施設の中には、一軒にバス・トイレが三つもついた家族住宅とか、ゲームセンターなども含まれています。八七年には、「特別協定」を締結して、基地労働者の福利費以外の諸手当にも負担を拡大、九一年度からは基本給の一部の負担もできるようにしたうえに、光熱水費まで日本が負担することにし、金額が増えていきました。
九六年からは、米軍の訓練場所の移転に伴う経費も追加されました。さらに、九六年度からは、「第二の思いやり予算」といわれる、沖縄の基地移転などに関するSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費の負担がはじまりました。
また、二〇〇六年度からは、在日米軍の再編関係の経費の負担も開始されました。SACO経費と米軍再編経費は、当初予算だけでなく補正予算で毎年大幅な追加が行われています。
以上の経費をあわせると、最近では毎年二千五百億円から三千億円近い支出がされ、七八年以来の三十一年間の累計では、五兆七千五百億円以上にもなっています。
労務費や光熱水費の負担を定めた「特別協定」は、〇八年三月で期限切れとなっていました。しかし、政府は、今後三年間で光熱水費をわずか八億円削減するというだけで、この協定をさらに三年間延長することをアメリカと合意してしまいました。
〇七年五月に、政府は「米軍再編促進法」を強行成立させ、米軍基地増強のために巨額の税金を投入しようとしています。ローレス米国防副次官(当時)は、米軍再編経費の総額は三・四兆円にのぼり、日本側の負担は「控えめな試算」でも二兆九千八百億円になると言明しました(〇六年四月)。
すでに日米が合意した「グアム移転経費」の分だけでも、日本側負担が七千億円とされています。この金額は住宅一戸に八千万円もかかる計算です。アメリカ領土の米軍基地建設に他の国が税金を投入した例は皆無であり、国民の税金をこのような経費に充てる道理はまったくありません。(つづく)
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