2008年2月11日(月)「しんぶん赤旗」

会議1回600万円?

八ツ場ダム 関連業務

国交省天下り法人 受注

随意契約 2年で5千550万円


 国土交通省発注の八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の環境対策関連業務を、同省OBの天下る財団法人が、業務内容にみあわない高額で受注していた疑いのあることが十日、本紙の調べでわかりました。業務の中心は、一回あたりの費用が六百万円にもなる会議の運営で、契約はいずれも入札なしの随意契約。同省と天下り法人の癒着ぶりが浮かび上がります。


ダム業界丸抱えで設立

 問題の事業は「八ツ場ダム自然環境保全対策検討業務」。内容は、ダム下流河川の水域環境や周辺の猛禽(もうきん)類への影響について検討する委員会の運営補助。契約資料によると「既往(過去に実施された)の環境調査、解析、検討結果をとりまとめて委員会資料の作成」「委員会においてとりまとめた結果の報告及び討議」「保全対策を検討する」というものです。

 受注した「財団法人ダム水源地環境整備センター」は、この事業を二〇〇五、〇六年度分ともに随意契約で請け負いました。受注額は二年で五千五百五十万円にのぼります。

 しかし、具体的な業務は委員会が開いた九回の会議のための資料作成と会議運営くらい。一回六百万円も運営費用にかかったことになります。

 業務が高額な理由について、同センターは「ただ委員会をやるだけではない」とのべつつも「中身について具体的な話はできない」と、金額の根拠をあきらかにしていません。

 同センターの業務報告書によると、委員会は主に群馬県高崎市内のホテルで開かれました。会場のひとつとなったホテルでは、委員会が二時間行われました。同ホテルの会場使用料は二時間で三万四千円程度。終日でも二十一万円です。

 国交省資料によると、同センターには同省OB四人が再就職(〇三―〇五年)しています。理事長には元河川局長、顧問には元北海道開発事務次官がおり、理事・評議員にも同省OBが天下っています。また日本ダム協会会長を務める大成建設会長やセメント協会会長の三菱マテリアル社長、プレストレスト・コンクリート建設業協会会長のピーエス三菱社長も名を連ねています。

 同法人は設立時(一九八七年)の基本財産約十億円のうち、八億円近くはゼネコンやメーカー、コンサルタント会社の寄付でまかなわれているゼネコン丸抱えの法人でした。

 問題の検討委員会に提出された資料では、多くの部分で八ツ場ダム建設は周辺環境に「影響が少ない」とする予測を出しています。

 同センターは本紙の問い合わせに「生物環境の保全対策を検討することを含めての業務。私どもは仕事(受注額)が高いか低いかを説明できない立場」と回答。発注した国交省八ツ場ダム工事事務所は「委員会の資料をただ持ってくるだけではない。細かいところはわからないが、多分、影響の予測や保全対策の検討をこの業務でやっているのではないか」としています。


地図

 八ツ場ダム 無駄な公共事業として国会でたびたび取り上げられる同ダムは、国が総事業費四千六百億円をかけ、建設をすすめています。関係する六都県の負担も四千億円にのぼります。利水、治水を目的に二〇一五年の完成予定ですが、その必要性には多くの疑問が指摘されています。


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