2008年2月9日(土)「しんぶん赤旗」
続消費税なぜなぜ問答
社会保障の財源を考える(13)
Q 軍事費が「聖域」とは?
日本共産党は、大企業などへの優遇税制とならんで、軍事費がもう一つの「聖域」とされていると指摘しています。これはどういうことでしょうか。
日本の軍事費は、対GDP(国内総生産)比では1%程度なので、アメリカなどに比べれば低くなっています。しかし、憲法九条で戦争を放棄し、「戦力は、これを保持しない」と定めている国としては、異常に過大なものとなっています。
消費税が導入された一九八九年度ごろは、軍事費は毎年急増していました。イラク戦争開始後はアメリカなどの軍事費が増えているものの、九一年のソ連崩壊後、九〇年代には、欧米諸国は軍事費を軒並み減らしました。ところが、日本の軍事費は九〇年代半ばまで増加を続けたのです。
九〇年代後半以降は横ばいとなっていますが、急増したまま「高止まり」しているという状況です。消費税導入以降の二十年間で、消費税増税前の八八年度と比べた増加分の累計は、二十一兆円に達しています(グラフ参照)。
政府は「財政健全化のため」と、社会保障などの予算は毎年のように削り込む一方で、軍事費については例外扱いを続け、五兆円近い規模を維持してきました。
たとえば、二〇〇二年度予算の編成にあたっては、社会保障関係費や人件費などの「義務的経費」を除く「一般政策経費」については前年度比10%削減とし、そのかわりに「環境」「都市再生」「IT(情報技術)国家づくり」など七分野の「構造改革特別予算枠」を設けました。ところが、当時の防衛庁は、「基地周辺の騒音対策は、環境対策」「災害時の救援活動の強化は都市再生」「自衛隊の情報通信機能強化はIT」など、こじつけのような予算要求を行い、全体で八千億円の「特別枠」のうち二千六百三十億円と、防衛庁がトップになってしまったのです。
続く〇三年度予算では、「義務的経費は据え置き、裁量経費は2%削減」という予算編成方針でしたが、この年も軍事費は0・1%しか減りませんでした。自衛隊員の人件費だけでなく、過去に契約した装備品の支払いや、アメリカとの「特別協定」にもとづく「思いやり予算」など、四・三兆円以上が「義務的経費」扱いに変更されてしまったからです。
いま政府は、〇六年の「骨太方針」にもとづいて、社会保障費の「自然増」を毎年二千二百億円削減するなど、歳出削減方針を掲げています。しかし、この「骨太方針」では、軍事費については「名目伸び率ゼロ以下」とする一方で、「米軍再編に要する経費については…必要な措置を講ずる」と別枠の予算計上の可能性を認め、経済情勢などによって「伸び率ゼロ」が難しい場合は、経済成長率程度までの伸びを認めることを追記しています。今後、米軍再編が本格化する中で、軍事費は削減されるどころか、大幅に増えていく可能性すらあるのです。(つづく)
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