2008年2月8日(金)「しんぶん赤旗」

乗務員監視

JALが真相隠し

初の弁論 事実認めず賠償の意向


 日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)と客室乗務員ら百九十四人が、「個人情報を無断で収集され、人権を侵害された」として、日本航空インターナショナル(日本航空)とJAL労組(JALFIO)らを相手に損害賠償を求めていた訴訟の第一回口頭弁論が七日、東京地裁(中西茂裁判長)であり、会社側は「訴えられた事実は無根」としたうえで、損害賠償(約四千八百万円)に応じる意向を表明しました。

 JALFIOは何の意向も表明しませんでした。CCUは、真相究明に幕を引く暴挙は許されないとして、真相究明と責任追及を続けていく考えを表明しました。

 監視ファイルは、JALFIOが客室乗務員九千八百六十二人について作成していたもの。住所、氏名のほか、思想・信条や家庭環境、病歴や勤務評価などにもおよび、会社しか知り得ない情報も多く記載されていました。CCU側は、日本航空とJALFIOが一体となって情報を収集・交換し、作成したことは明らかであり、基本的人権と団結権の侵害であるとともに、労働者の連帯を壊し、安全運航を脅かすものだとして訴訟を起こしました。

 口頭弁論後、記者会見した飯田幸子原告団事務局長は「私たちが真に求めていることは損害賠償ではない。安全運航と人間の尊厳が尊重される職場づくりのため日本航空やJALFIOの人権侵害の実態と責任を明らかにして、二度とこのようなことが起きないよう内外に真相を明らかにすることです」と強調しました。

 会社の態度について大森夏織弁護士は「事実関係が審理で明らかにされることを恐れた結果であり、許されない」と批判しました。

 口頭弁論では原告の代表が意見陳述。公共交通機関である航空会社にとって第一の社会的責務が「安全運航の確立」であり、そのために客室乗務員相互の人間的連帯とチームワークが欠かせないものであることを強調。「情報収集とファイル作成・利用は人間関係とチームワークを破壊・分断するもの」とのべました。



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