2008年2月6日(水)「しんぶん赤旗」
ギョーザ中毒
JT株、財務相が50%
天下りも3人「準国営企業」
中国から輸入した冷凍ギョーザを食べて下痢やおう吐などの中毒症状を発症する事件が拡大しています。輸入元親会社の日本たばこ産業株式会社(JT)の大株主は、財務大臣で、同社株の50・02%を所有しています。一九八五年四月、日本専売公社から、民営化されたものの、株の半数を国が持っている「準国営企業」です。さらに、JTには三人の旧大蔵省官僚が天下りしています。
有価証券報告書やJT広報部によると、天下りしていた一人は涌井洋治・取締役会長。一九六四年四月に当時の大蔵省に入省、同省主計局長を務めた後に、日本損害保険協会副会長をへてJTに天下りしました。涌井会長は官房長のときに、贈賄容疑で逮捕された石油商・泉井純一氏から絵を贈られたことが発覚し、処分を受けました。
武田宗高・代表取締役副社長も天下り組。一九七二年四月に旧大蔵省に入省。内閣府大蔵官房審議官、同府審議官などを務め、退省後にJTに天下りして、二〇〇七年六月から代表取締役副社長をしています。
もう一人の天下り官僚は、立石久雄・常勤監査役。七一年四月に旧大蔵省に入省。国税局長、総務省人事・恩給局次長などを務め、昨年六月にJT常勤監査役に就任しました。
新日本婦人の会の産直運動に取り組んでいる東京都世田谷区の主婦、高野美子さんは「日本の食糧は日本の大地からという基本が崩れ食の安全が脅かされています。国丸抱えのような企業がもうけ優先に走った結果国民無視の最悪な結果となったと思います。天下りは自分たちだけが甘い汁を吸う最悪の事態です。許せません」と怒っていました。
安心の食料を
農民運動全国連合会の笹渡義夫事務局長の話 日本の食糧自給率は39%と最悪です。国際的にも食糧不足と価格の高騰を招いています。「準国営企業」といえるJTが、食品企業としてやるべきことは、安心・安全の国内で作る食料品の供給です。本末転倒としかいいようがありません。