2008年2月2日(土)「しんぶん赤旗」
ギョーザ中毒事件
中国当局、対応急ぐ
「春節までに解決」
「遺憾の意」表明
【北京=山田俊英】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で中国当局は食品安全事件としては異例の素早さで動いています。一日には中国国家品質監督検査検疫総局がこの問題を協議する専門家チームを二日に日本に派遣すると発表しました。対日関係を重視し、胡錦濤国家主席の訪日を四月に控えて事件を重大視していることは明らかです。ただ、今はサンプル検査では農薬が検出されなかったという初動調査結果が出た段階であり、すべては今後の真相究明と再発防止策の確立にかかっています。
中国当局は一月三十日の事件発覚後、直ちに製造元の天洋食品(河北省石家荘市)に生産停止と全製品の回収を命令。三十一日には来日していた何亜非外務次官補が高村正彦外相に「遺憾の意」を表明しました。
中国外務省は同日、週二回開いている定例記者会見の冒頭、劉建超(りゅうけんちょう)報道局長が調査結果を発表、被害者が「早く回復されるよう願っています」と述べました。
昨年来、中国製の食品、医薬品、玩具の安全性が世界各国で何度も問題になり、外務省の記者会見で外国人記者から多くの質問が出ました。しかし今回のように、記者が質問する前に、しかも事件発覚の翌日に調査結果とコメントを発表するのは異例です。
同日、食品安全の担当官庁、国家品質監督検査検疫総局が開いた記者会見には日本を中心に大勢の外国人記者が詰めかけました。門前では事前に出席を申し込む時間のなかった記者と警備員との間で、「入れろ」「参加名簿にない」の押し問答になりましたが、広報担当者が出てきて「とにかく通しなさい」と警備員に命じる一幕もありました。普通、事前の約束がないと入れない中国の官庁としてはまれなことです。
五輪への影響も
同局の劉徳平(りゅうとくへい)報道官は「春節(旧正月、二月七日)までに解決したい」と述べました。春節休みが明ける二月中旬以降、唐家セン(とうかせん)国務委員、楊潔篪(ようけつち)外相が胡国家主席訪日準備のため相次いで訪日します。十年ぶりの国家主席訪日への影響を避けようという中国側の姿勢がうかがえます。
記者会見では、北京オリンピックへの影響についての質問も出ました。王大寧輸出入食品安全局長は、「五輪で提供する食品は特別体制で管理している」と答えました。五輪期間中、毎日数十万人と予想される外国人客の大半は一般の食べ物を口にします。冷凍ギョーザ事件の早期解決は五輪成功のためにも至上命令です。