2008年2月2日(土)「しんぶん赤旗」

主張

有害輸入食品

安全確保は政府と企業の責任


 中国製冷凍ギョーザによる被害が広がっています。

 確認されている最初の被害は昨年末に千葉市の生協店舗で購入した親子です。続いて一月五日、兵庫県の家族がスーパーで買った冷凍ギョーザを食べて中毒症状に襲われました。二十二日には千葉・市川市の家族五人が同市の生協店舗で購入した冷凍ギョーザで被害に遭いました。

 兵庫の高校生と市川の女児が一時意識不明になるなど重体に陥っています。事件は一月三十日になってようやく公表され、その後、全国各地から被害の報告が相次いでいます。

検査体制の抜本強化を

 千葉県警と兵庫県警の鑑定によると、三件の冷凍ギョーザから有機リン系殺虫剤のメタミドホスなどが検出されました。メタミドホスは呼吸不全やけいれんを引き起こし、死に至ることがあります。長期にわたって摂取した場合、影響が蓄積され神経障害を起こすこともあります。

 メタミドホスは日本では農薬として登録されていませんが、中国では最近まで使っていました。ゴキブリ駆除剤にも使われており、今回の冷凍ギョーザにどのように混入したのか、日中当局と関係者は原因の究明に全力をあげるべきです。

 最初の事件が発生してから公表、輸入・販売中止の措置に至るまで一カ月も経過しています。兵庫、市川市の事件では毒物中毒として病院が行政当局に通報しています。関係業者と行政の対応は遅きに失し、被害の拡大を招いた責任は重大です。

 日本共産党の国会議員団は一日、福田康夫首相に対して、政府の責任で新たな被害を防止し、中国政府と協力して原因究明に当たること、輸入食品の検査体制を抜本的に強化することなど、今回の事件を受けて緊急の申し入れをしました。

 日本は六割以上の食料を輸入に依存している一方、食品衛生法に基づく国の輸入食品の検査率はわずか一割にすぎません。国民は今回のように実際に食べて被害に遭ってはじめて危険を知るか、慢性的な影響は知ることもできないという不安の中に放置されています。食料自給率の引き上げにとりくむとともに、輸入食品の安全確保に政府が責任を果たすことが決定的に重要です。日本共産党は輸入食品の検査率を現在の10%から50%に引き上げ、それを支える食品衛生監視員を抜本的に増員するよう求めています。

 政府の輸入食品のモニタリング検査は検査結果が出る前の流通を認めているため、食品汚染を発見しても国民の口に入った後という本末転倒の事態が起こっています。有効な食品検査として検査結果が出るまでは輸入を留め置くようにするのは当然です。

 この背景にはアメリカの強い要求で輸入食品の検査を緩和してきた経過があります。国民の命と健康にかかわる問題であり、アメリカいいなりを改めて自主的な姿勢を確立する必要があります。

開発輸入の検証が必要

 問題の冷凍ギョーザは、中国河北省の「天洋食品」が製造しました。日本たばこ産業(JT)の子会社「ジェイティフーズ」が企画し、総合商社「双日」の子会社「双日食料」と「天洋食品」の三社が共同で試作・生産したものです。コストを引き下げるために、日本企業の企画・指示で海外の工場に生産させる典型的な「開発輸入」です。

 安全の確保をコストの犠牲にしていなかったか。当事者はもちろん、「開発輸入」にかかわった企業には徹底して検証する責任があります。


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