2008年2月1日(金)「しんぶん赤旗」
続消費税なぜなぜ問答
社会保障の財源を考える(8)
Q 大企業のもうけ どこに行った?
大企業は史上空前の利益を上げているのに、税金は減税されています。そのもうけは、どこに行ってしまったのでしょう。
財務省の「法人企業統計調査」によると、資本金十億円以上の大企業は、一九九〇年度から二〇〇六年度までの十六年間に経常利益を一・七五倍に増やしています。しかし、売上高は一・一五倍にすぎません。その利益は、売り上げを増やすよりもリストラによるコスト削減によって生み出されています。このため、利益が大幅に増えているのに、従業員の給与はわずかしか増えていません。
一方、役員の給与は一・三九倍に、利益から配分される役員賞与は五・四三倍に急増しています。大企業の役員は、社員にはリストラを押しつけながら、自分たちの報酬は増やしているのです。
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さらに大きく増えているのが、株主への配当金です。配当金はこの間に四・一七倍、金額にして九兆円も増えています。とくに、〇三年度に証券優遇税制が導入されて、配当に対する減税が実施されてから、配当額が急増しています。〇二年度から〇六年度の四年間だけで、八兆円近くも増えました。
結局、大もうけしたうえに税金まで安くしてもらい、その結果生まれた利益は、株主と役員が山分けしてしまったのです。
さらに、この配当がどこに流れたのかを調べてみましょう。大企業の配当金は、最近の四―五年だけでも三倍前後に増えていますが、その多くは、国内の株主ではなくて、いわゆる「外国人株主」に流れているのです。図は、配当金が百億円を超える企業の上位百社について集計したものですが、〇二年度から〇六年度の四年間で、国内の個人株主への配当は二千五百億円しか増えていないのに、外国法人等への配当は九千五百億円も増えています。
いくら大企業が空前の利益をあげても、従業員の給与は増えない、税金もまともに払わない、配当金は増やしても、その多くが外国に流れてしまう―これでは、国内の景気がよくなるはずがありません。これまで政府は、“企業が利益をあげれば家計にも波及する”と説明してきましたが、最近ではそれすらいえなくなってきています。
大企業にもうけ相応の税負担を求め、それによって社会保障の拡充をはかることは、こうしたゆがんだ経済構造をあらためて、健全な経済発展の道を開くためにも必要なことです。(つづく)
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