2008年2月1日(金)「しんぶん赤旗」
公務員制度「改革」
特権官僚制を温存
政府の懇談会 天上がりも自由化
政府の「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」(座長・岡村正東芝会長)は三十一日、特権的官僚制を温存し、官民癒着の「官民交流の促進」などを盛り込んだ報告書をまとめました。
総理大臣や閣僚を支える「国家戦略スタッフ」「政務専門官」を新設。国会議員との折衝は閣僚と政務専門官が行い、それ以外の公務員の接触は閣僚の命令がある場合に限定します。国会のチェックを逃れ、政権党に奉仕する公務員づくりをすすめる方向です。
採用試験だけで将来の処遇まで決まる現行キャリア制度は、「総合職」「一般職」「専門職」に再編。大卒の総合職が幹部登用に優遇される仕組みは変わらず、特権官僚制度を温存しています。
「すべての公務員が民間企業の業務と倫理を学ぶ」「官民交流の促進」として、すべての公務員を企業に出向させるなどもうけ優先の民間企業の論理を行政に持ち込み、官民癒着の「天下り・天上がり」を自由化する内容になっています。
「行政効果」など政権党の政策を実行してどれだけ成果をあげたかで評価する「成果主義」を導入。公務サービスをゆがめるとともに、「全体の奉仕者」から、時の政権党や財界に奉仕する公務員に変質させるものです。年功昇給は「二十年で停止」としており、公務労働者の生活を脅かす内容です。
一方で、ILO(国際労働機関)から勧告も受けた労働基本権(団結権、団体交渉権、争議権)については、労働協約締結権の付与を明記した政府専門調査会の報告書を「尊重する」としています。消防職員などの団結権や争議権には言及していません。人事院を廃止し、人事を一元管理する内閣人事庁(仮称)の創設を打ち出しました。同庁設置法案は二〇〇九年の通常国会に提出し、その他の改革も五年以内に実現するよう求めています。答申を踏まえて政府は、国家公務員制度改革基本法案を策定し、今国会に提出する方針。