2008年1月29日(火)「しんぶん赤旗」

主張

「つなぎ」法案

民主主義破壊への感覚マヒだ


 自民、公明の与党が、三月末で期限切れとなるガソリンへの暫定税率を二カ月間延長する、「つなぎ」法案を国会へ提出しようとしています。

 暫定税率を延長する租税特別措置法などの改定案が三月末までに成立しなくても、一月末までに「つなぎ」法案を衆院通過させておけば三月末には「つなぎ」法案を成立させることができ、延長法案を成立させるまでの時間稼ぎができるというねらいからです。国民の意思を無視して、何が何でも暫定税率延長を強行する民主主義破壊の企てです。

強行に強行を重ねるのか

 与党は与野党の協議で、ガソリンなどへの暫定税率を延長する法案を三月末までに成立させると約束できるかと居丈高に求めたうえ、それが約束できないのならと、「つなぎ」法案なるものを持ち出してきました。これ自体異常のきわみで、与党の思うとおり法案が成立しないからといって、突然土俵を広げるような法案を持ち出すなどというのは、まともな国会運営ではありません。

 大体、暫定税率を延長するかどうかは、来年度予算にかかわる問題です。予算案の審議がまだ予算委員会で始まりもしないうちに、予算関連法案を衆院で可決させるなどという話は聞いたこともありません。「つなぎ」法案の提出は、どこから見ても非常識この上ないものです。

 「つなぎ」法案で自公がねらっている、延長法案が三月末に成立していなければ、法案が参院に送付され六十日たっても採決されていないときにはその法案が否決されたものとみなすという規定を使って衆院で再議決、三分の二以上の賛成で可決し成立させ、時間を稼ぐというシナリオも異常なものです。まさに、強行に強行を重ねるものです。

 ことしはじめの新テロ法案の審議では参院での否決を覆すために、衆院での再議決が使われました。「つなぎ」法案で、否決されていなくても六十日たてば否決とみなして再議決するなどというやり方が繰り返されれば、それこそ「数の力」で、どんな悪法も通ることになります。

 もともと国会は、各党・各議員が意見をたたかわせ、よりよい法案をきめていくための審議の場です。その審議を踏みにじり、政府や与党が提出した法案ならどんな手段を使っても、最後は「数の力」で押し切ればいいとなれば、それこそ国会審議は形だけのものになってしまいます。与党の態度は、民主主義破壊への感覚がマヒしています。

 与党がそこまでして延長しようとしている暫定税率は、無駄な道路づくりを加速するために、ガソリンなどにかかる税率を本来の税率より高い、「暫定」の税率としているものです。政府は「暫定」といいながら三十年以上の長きにわたってその延長を繰り返し、今回また三月末で期限切れとなる暫定税率を十年間にわたって延長するとしています。

暫定税率ごり押しやめよ

 暫定税率は廃止し、無駄な道路づくりの計画は見直すべきだというのが圧倒的な国民世論です。何が何でも延長するために「つなぎ」法案まで持ち出してくる与党は、国民の意思も、国会の審議もどうでもいいと考えているというしかありません。

 福田康夫首相は今国会冒頭の施政方針演説で、与野党の「話し合い」を「政治の責任」だといいました。暫定税率延長をごり押しする与党には、話し合いの謙虚さはありません。首相のことばに多少の真実があるなら、与党は「つなぎ」法案を撤回し、税率延長の強行をやめるべきです。


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