2008年1月28日(月)「しんぶん赤旗」
ブラジル大統領
アマゾン守る新対策
監視強化・森林消失地封鎖
【メキシコ市=松島良尚】ブラジルのルラ大統領は二十四日、アマゾン地方の森林消失を抑えるため、違法伐採を行った業者に対する融資停止や警察官らによる監視の強化、森林消失地の封鎖などの措置をとると発表しました。世界最大の熱帯雨林であるアマゾンの森林は、世界的な気候安定化要因の一つといわれています。
ブラジル通信などによれば、同国の国立宇宙研究所(INPE)が二十三日、森林消失のペースは加速しているとする調査結果を発表。ルラ大統領がこれを重視して関係閣僚会議を招集し、新しい対策を講じました。
ルラ政権は違法伐採の取り締まり強化や保護区域の拡大などにより、アマゾンの森林消失面積のペースを減少させてきました。昨年七月までの一年間の消失面積はその前の一年間と比べ約三分の一減りました。
しかし、その後の一カ月当たりの消失面積のペースは、八月の二百四十三平方キロから十二月の九百四十八平方キロに急増。五カ月間で東京都の面積の一・五倍以上、三千二百三十五平方キロの森林が消失しました。
その原因についてシルバ環境相は、農産物などの国際価格の上昇を背景とする森林の農園化や牧畜用地化を指摘。「ブラジルは環境との調和を可能にする発展モデルを必要としている」と述べました。
森林消失の悪化は中西部マトグロッソ州や北部パラ州などに集中しています。ルラ大統領はこれらの自治体首長らと協議する予定です。
アマゾン熱帯雨林 南米大陸のアマゾン川流域に広がる熱帯雨林で、総面積は日本の面積の約十九倍にあたる七百万平方キロメートルで、地球上最大の熱帯雨林。二酸化炭素を吸収し酸素を排出する光合成で、酸素の四分の一を生み出していると言われ、地球温暖化の面からも森林保存問題は重視されています。ブラジル、コロンビア、ペルー、ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナにまたがりますが、およそ六割はブラジル国内にあります。
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