2008年1月26日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

増税試算は消費税ばかり

なぜ法人税にふれない 佐々木議員の追及


 二十五日の衆院予算委員会で、「年金財源」を口実にした消費税増税の欺まんぶりを明らかにした日本共産党の佐々木憲昭議員。浮き彫りになったのは、国民には過酷な増税を押しつけながら、財界・大企業には一言もモノが言えない政府の逆立ちぶりです。

大増税の税収分どこに消えた?

 佐々木 基礎年金の国庫負担は現段階でいくら増えたのか。

 舛添要一厚労相 六千八百億円だ。

 佐々木 (定率減税廃止など)大増税で国に二兆八千億円も入ったのに、年金に回ったのはわずか四分の一だ。

 佐々木氏がまず追及したのは、基礎年金に対する「国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源」の実際です。自民・公明政権は、これを年金課税の強化や定率減税の縮小など庶民大増税の口実としていました。自民党の〇四年度「税制改正大綱」にも、公明党の「年金100年安心プラン」にも盛り込まれていました。

 ところが、政府から返ってきたのが冒頭の答弁。公明党の公約では、大増税を財源に基礎年金の国庫負担は、二〇〇四年度から段階的に引き上げられて〇八年度には三分の一から二分の一になるはずでした。それが三分の一からわずか「一千分の四十」(舛添厚労相)しか増えていなかったのです。

 佐々木 増税分全額に相当するものを、回すはずではなかったのか。あとの(増税分)四分の三はどこにいったのか。

 額賀福志郎財務相 財政全般の借金累積が多いので、財政の健全化をはかるために使わせていただいた。

 「年金財源に充てる」という約束は完全に反故(ほご)にされたのです。この答弁に、佐々木氏は、「(与党は)全部基礎年金の国庫負担引き上げに回すと宣伝してきた。借金返済などという使い方で国民が納得すると思うのか」と、そのデタラメぶりを指摘。首相が通常国会の代表質問への答弁の中で、「年金財源」という同じ口実を再び持ち出して消費税引き上げを表明したことをあげ、「これは、二重に国民をだますものだ」と厳しく批判しました。

法人税減税を戻せば4兆円

 国民から税金を取り上げて、大企業の減税にも回しているのではないか―。佐々木氏は、国民には増税を求める一方で、大企業には至れり尽くせりの減税をしている実態(図)を示して、政府の姿勢を厳しく追及しました。

 佐々木 内閣府は消費税の引き上げ試算ばかり発表しているが、法人税の試算はしていないのか。

 大田弘子経財担当相 法人税は前提の置き方が難しいので、機械的な計算の場合は使っていない。

 佐々木 国民には負担ばかり求め、大企業に負担になるようなことには一切、手を触れないということだ。

 法人税の引き上げに関しては、試算さえもまったくしない政府に対し、佐々木氏が示したのは、大企業の法人税率を一九九〇年度の水準に戻すだけで四兆円もの財源が生まれるという独自の試算です。

 「数兆円の財源があれば、住民税・所得税の増税も必要ない。消費税の増税も必要ない。このことがはっきりいえる」と政府の認識をただす佐々木氏。「すべての負担を国民に回すやり方では、『生活者を重視する』などとは言えない」として、税金の取り方を大もとから転換するよう強く政府に要求しました。

図


非常に痛快/「増税戦犯」に迫った

佐々木氏質問に反響

 「非常に痛快!」「一本取った」―二十五日、衆院予算委員会での日本共産党の佐々木憲昭議員の質問をテレビで見た人たちから日本共産党本部に反響が寄せられました。

 「佐々木さんが法人税を引き上げよと追及していたが、大正論ですよ」―党本部への電話で、こう力を込めたのは「党員ではない」という千葉県の年配の男性です。

 「国民には消費税の大増税を押しつけ、大もうけの大企業には法人税の減税なんて、絶対に許せない。頑張ってください」

 大阪府の男性は、「非常に痛快だった。『増税戦犯』の公明党の姿を、公明新聞の記事も紹介しながら迫ったのがよかった。消費税増税を許さないために、今後も徹底的に追及してほしい」と期待を寄せました。

 ほかにも、「短い時間のなかでも迫力のある質問だった。だらだらとなれあい質問をしていた別の党の議員とは対照的」(大分の男性)と感心する声も。


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