2008年1月22日(火)「しんぶん赤旗」

主張

武器禁輸緩和要求

紛争の助長めざす危険な主張


 憲法の平和原則を具体化した武器輸出三原則をなくそうとする動きが財界から強まっています。

 政府は二〇〇四年に、ミサイル防衛に関する日米共同開発・生産に限って武器輸出三原則の例外にしましたが、日本の武器の海外への流出を禁止した三原則が武器を世界に流出させない歯止めになっていることに変わりありません。財界が三原則の再見直しを求めるのは、武器を世界に売りつけ、巨大なもうけをあげるためです。日本を世界各地の戦争・紛争を助長する「死の商人」国家にするわけにはいきません。

財界のもうけ主義

 日本経団連の加藤千之防衛生産委員会委員長代理は、昨年十二月二十五日の参院外交防衛委員会で、アメリカ以外の武器の国際共同開発に参加し、生産した武器や技術・部品を輸出できるようにするため、「武器輸出三原則の見直しが必要だ」と公然と要求しました。アメリカを武器輸出三原則の適用除外にしただけではあきたらずに、さらに緩和あるいは解除を求めるものです。

 武器を諸外国に売るということは、戦争や紛争などでその武器が使われ、多くの人々を殺傷するということです。武器を売ることと平和・生命尊重とは両立するわけもありません。財界の言い分は、もうけさえあがれば、他国民のいのちはどうでもいいとする言語道断の態度です。

 福田内閣の態度も見過ごしにはできません。石破茂防衛大臣は、武器を売って「紛争を助長するなどというのはもってのほか」といいながら、武器の共用化が「必要」とか、買い手が自衛隊だけなので価格が「高い」といって武器輸出に誘導する発言をしています。

 そのために「議論は国会でぜひなさっていただきたい」(昨年十一月一日衆院テロ対策特別委員会)、「そうでなければ神学的」(昨年十二月二十七日参院外交防衛委員会)ともいっています。高村正彦外務大臣も「柔軟解釈の議論は三原則と矛盾しない」(同)といっています。両大臣がこうした態度をとるのは、いずれ時期をみて武器輸出三原則を再見直しする考えがあるからとみざるをえません。「議論だから」といって放置するのは危険です。

 武器輸出三原則についての政府統一見解は、「平和国家としての我が国の立場から…国際紛争等を助長することを回避するため」、どの国に対しても「武器の輸出を慎む」としています(一九七六年二月二十七日)。石破、高村両大臣の発言が政府統一見解に反するのはあきらかです。

 もともと武器輸出三原則は、過去の侵略戦争で二千万人にもおよぶアジア諸国民のいのちを奪った痛苦の教訓から確立されたものです。財界・軍需産業のもうけのために再見直しさせるわけにはいきません。

禁輸固持してこそ

 アメリカなどが売りつける武器で多くの人々が犠牲になっていることは重大です。国連はようやく、拳銃や機関銃などの小型武器の移転規制の動きを本格化しつつあります。世界のどこにもない、武器輸出三原則をもつ日本こそ、積極的な役割を果たせる課題です。外務省の二〇〇六年版『日本の軍縮・不拡散外交』でも、日本は「武器輸出を行っておらず、輸出を前提とした軍需産業もないことから、国際社会をリードできる」といっています。武器輸出三原則の再見直しは有害無益です。

 武器輸出三原則は日本外交のためにも守るべき宝です。再見直しを許さず、堅持することが重要です。


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