2008年1月22日(火)「しんぶん赤旗」

甘利経産相ら自公「油」族議員

ガソリンスタンド業界にパーティー券販売

06年557万円


 自民党の甘利明経済産業相や、同党の「独禁法調査会」所属の国会議員らが、独占禁止法改正にむけて罰則強化などを求めているガソリンスタンド業者の業界団体に、パーティー券を購入させていることが二十一日、本紙の調べで分かりました。原油高などの影響で苦境に立たされているガソリンスタンド業界に、政策的影響力をもつ与党議員がパーティー券を売りつける形となっており、政治倫理が問われています。


 議員らが資金集めパーティーのパーティー券を売りつけていたのは、「全国石油商業組合連合会・全国石油業共済協同組合連合会」(全石連・関正夫会長、東京都千代田区)の政治団体「全国石油政治連盟(油政連)」。ガソリンスタンド約二万社が加入しています。

国民政治協会にも

 政治資金収支報告書によると、二〇〇六年、自民、公明の国会議員二十二人が油政連にパーティー券を購入させていました。購入額は同年だけで五百五十七万円にのぼります。このほか自民党の政治資金団体「国民政治協会」にも百万円を献金させています。

 油政連にパーティー券を購入させていたのは、同団体の所管官庁である旧通産省出身の族議員や、自民党の有志でつくる「ガソリンスタンドを考える議員の会(GS議連)」の幹部議員ら業界と関係の深い議員たち。

 このうち、所管する甘利経産相のパーティー券代は、六回にわたり計五十二万円分。〇六年九月の大臣就任後の十一月にも六万円を購入させています。渡辺博道経産副大臣(当時)についても、計六十万円を購入。就任後も二十万円を支出したとする記載があります。

 旧通産省出身の町村信孝内閣官房長官や佐藤剛男衆院議員(自民党独禁法調査会事務局長)、額賀福志郎財務相の顔ぶれもあります。

課徴金導入を要望

 油政連側が、議員に対し働きかけを強めているのが、通常国会に公正取引委員会が提出を目指している独占禁止法の改正案。原価を割り込むような低価格で販売する不当廉売に対して課徴金制度を導入してほしいというものです。

 全石連の機関紙「ぜんせき」などによると、全石連と油政連は、昨年十一月に自民党本部内で決起集会を開催、これには全国の団体幹部百六十人と、GS議連など百人の国会議員が結集し、課徴金導入を盛り込んだ決議を採択しました。

 議員側から「課徴金導入を推進したい」(山崎拓衆院議員)など業界への支援を表明する発言が相次いだといいます。

 油政連側は「ガソリンスタンドはガソリンや灯油を地域に供給する重要な中小企業。しかし規制緩和に原油高も加わり、経営はかつてなく厳しく廃業も増えている」と実態を述べたうえで、パーティー券の購入について「GS議連は百人もいるが、その中から前々からつながりのある議員に、つきあい程度で協力している。それによって何かしていただいたりというようなことはない」と話しています。

 甘利経産相の事務所は、本紙の取材に回答しませんでした。



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