2008年1月21日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

過疎に負けない


 「過疎」のまちで交通、医療などさまざまな困難にたちむかい、暮らし続けようとする努力を、豪雪地帯の新潟県十日町市と山深い徳島県那賀町から伝えてもらいました。


地図

冬越す知恵 制度に

新潟県 十日町市

豪雪地

 十日町市(とおかまちし、人口約六万二千人)は、二〇〇五年四月に一市三町一村が合併して誕生しました。

 多くの住民は、少子高齢化の進む豪雪山間地域に生活しています。過去三十年の最大積雪深平均が三三二センチ(松之山)、二七三センチ(松代)という私たちの地域では、雪対策が住み続けるための重要課題です。

 山あいの小さな米づくり農業に減反政策が追い打ちをかけ、「出稼ぎ」を最大の収入源にせざるを得なかった留守家族にとって、男衆のいない長い冬の雪とのたたかいは、大変なものでした。日本共産党は留守家族と一緒に署名活動や町、県への要請、政府交渉にも上京し訴え続けました。

 「豪雪、それ自体が災害だ」との大臣答弁を引き出し(一九七五年豪雪)、県との粘り強い交渉の中、新潟県独自の「冬期集落保安要員制度」が実現したのです。

 雪上車での道付けや公共建物の除雪、危険個所の見回りなど、保安要員さんの活動は住民から大いに頼りにされています。

 近年、県はこの制度の廃止を言い出し、毎年縮小しているため、不足する要員は市が確保しています。

 要援護世帯(高齢者世帯や障害者世帯など)の屋根雪除雪援助(一冬三万三千円まで)や小型投雪機新規購入・更新時助成、一人暮らし高齢者の冬期四カ月間の共同生活(教員住宅あとなどを活用したシルバーアットホーム)の拡充など、豪雪地でも安心して暮らせる地域づくりに取り組んでいます。

 〇六年六月、新潟県は突然「県立松代病院は県立十日町病院へその機能を統合し、県立としては廃止する」と発表。地域に大変な不安と憤りが起こりました。

病院が

 松代、松之山と隣の上越市大島地区住民による「県立松代病院存続」の署名運動が広がり、わずか十日あまりで全住民の80%以上、七千四百人余の署名が集まりました。

 早速代表が署名簿を携え県知事に要請。「地元の同意なしに松代病院が廃止されることはない」としつつ、「県立としては手を引く」との県の態度に住民は不安を抱えたままです。

 医療はどこに住んでいようと平等に。山間地医療機能を低下させない―を基本に、松代、松之山、大島の住民に今まで以上に責任が持てる松代病院にするため、県当局や十日町、松代両県立病院はじめ近隣の病院長等とも懇談を重ねるなど活動を強めています。

 自分たちの地域は自分たちで。年をとっても安心して住み続け暮らしてゆける地域に―集落に出かけて座談会をし、いろいろな意見や要望、提案を受け、皆さんと力を合わせ元気に活動しています。(村山邦一市議)

地図

ブランド 発展させ

徳島県 那賀町

山深く

 那賀町(なかちょう)は、二〇〇五年三月に那賀川流域の五町村が合併し、面積は徳島県の約六分の一を占めます。人口は約一万人で、一九六〇年の約二万三千人から半分以下に減っています。高齢化率は、38・1%です。那賀川に沿って、国道195号が町を貫いています。

 私の住む旧木頭村は、那賀川の最上流に位置し、標高千メートルを超える山々に囲まれ、木頭スギ、木頭ユズの産地です。町内でも人口の減りが大きい地域です。

 一九七〇年ごろから約三十年にわたり、細川内ダム建設反対の運動が村あげてひろがり、国のダム建設を中止においこんだことでも有名です。ダムに頼らないまちづくりとして村が立ちあげた第三セクターの「きとうむら」が村民の力で発展しています。ゆずみつ、山の湧水(ゆうすい)、おからクッキーなどが好評です。

 合併には、「奥は切り捨てられるのでは?」「これまで全国に発信してきた木頭ブランドが消えてしまうのでは?」など不安いっぱいでした。実際、バス券・タクシー券が中止・縮小され、旧木頭村での町職員が減り、役場まで一時間以上かかるようになりました。

迂回路

 ダム建設計画の影響で、国道195号は旧木頭村内で狭く、未整備の区間が残っています。二〇〇五年、落石事故により北川地区が孤立する事態になりました。過疎地域にとって、孤立は死活問題です。私は、達田良子県議(当時)、住民といっしょに県への要望をくりかえし、迂回(うかい)路とトンネルバイパスの早期実現を求め、すでに着工しています。

 〇五年十月の合併町議選挙では、旧木頭村選挙区で定数三のなか20%の得票を得て、当選できました。旧鷲敷町区で新居敏弘さんが当選し、二議席となりました。合併への不安、「共産党は住民の声を大事にしてくれる」という信頼が、勝利できた要因だと思います。ダム反対運動を通じて、住民運動をささえ、国会では村民の立場で論戦してきた共産党への信頼がひろがっていました。

 郵政民営化は、過疎の町にとって痛手です。無集配化で人情味のある生活情報ネットワークが壊れます。私は、笹岡まさる衆院比例候補らと郵政公社四国支社にくりかえし要望に行きました。町議会では、くらしをまもる問題として位置づけることを追求してきました。

 最近、町を揺るがす問題が、前町長の四億円もの公金の使い込みです。私は、調査特別委員会の委員長として、不正を許さない町づくり、意欲を持った新しい町づくりをめざしています。

 また、医師不足が深刻です。町立病院を核として、木頭、北川の両診療所の医師を公募することを提言し、町もとりくみはじめています。(大沢夫左二町議)


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