2008年1月21日(月)「しんぶん赤旗」
「文明の同盟」フォーラム
対話促進で衝突回避へ
西洋・イスラムの溝埋めよう 80カ国の代表参加
【パリ=山田芳進】「文明の同盟」の第一回フォーラムが十五日と十六日の両日、スペインのマドリードで開かれ、世界八十カ国の政府関係者や国際機関、民間組織の代表が集い、西洋社会とアラブ・イスラム社会の溝を埋めるため、教育、青年、移民、メディアの各分野で十二の計画が実施されることが決まりました。
「文明の同盟」は、二〇〇三年に始まったイラク戦争と、〇四年三月にマドリードで起きたテロを受けて、「グローバル化した世界において多様性をうまく管理」し、「不寛容、急進主義、原理主義を後退させる」という目的のもと、スペインのサパテロ首相が提唱したイニシアチブで、その後トルコのエルドアン首相が共同発起人となり〇五年に誕生しました。〇七年には、ポルトガルのサンパイオ前大統領が、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長によって同盟の上級代表に任命されました。
潘事務総長は開会あいさつで「個人、コミュニティー、文化、国家それぞれの間で、これほどまでに建設的で真剣な対話が必要な時はない」と強調。「対話の促進が、今日、明日に変化を起こすものではない」としながらも対話が結果を得るための最も確実な方法だと指摘しました。サパテロ首相は、同盟の使命は、平和の促進、互いの尊重と寛容の理解を奨励していくことで「文明の衝突を避けることだ」と語りました。
また、オスロ平和人権センターのボンデビク所長は「対話は、軍事的手段ではなく衝突に対峙(たいじ)する最善の方法だ」と主張しました。
イランのノーベル平和賞受賞者エバディ氏は、「文明の衝突」という理念は「武器を売るために政治家によって使われた誤った理論」だと、これを否定しました。同氏はまた、西側諸国が冷戦後にそれまで対立していた「共産主義」に代わるものとして、「敵であるイスラム主義者」という考え方を編み出したと指摘しました。
エルドアン首相は、トルコの欧州連合(EU)加盟が同盟の成功の試金石だとの考えを示し、サパテロ氏も「われわれは、トルコをEU内に求める」と表明しました。