2008年1月21日(月)「しんぶん赤旗」
金融資本主義の行き過ぎ
民主・鳩山氏批判するが…
「当たり前のように考えていたこの資本主義が、本当に国民を幸せにしつづけていけるのか」――。こんな資本主義の先行きにたいする懐疑的な発言が飛び出したのは、十六日の民主党定期大会のことです。鳩山由紀夫幹事長が、二〇〇八年度活動方針案の「報告」で述べたものです。鳩山氏は、「果たして、このような行き過ぎた金融資本主義が、これからの世界で多くの人々を幸せに導いていけるのか。(七月の洞爺湖サミットでは)こんな根本的な経済の議論もおこなってもらいたい」とまでのべました。
鳩山氏といえば、同党代表を務めていた二〇〇〇年当時、「どんどん新規事業を起こすことができるような税制・金融改革」などの「金融自由化」論を展開。国会論戦でも「改革のスピードを競い合うことはやぶさかではない」(〇一年)と、弱肉強食の新自由主義路線を掲げて登場した小泉内閣と「構造改革」の競い合いを演じました。また短期雇用や解雇を容易にする労働基準法改悪について、「その規制緩和は大いにやるべきだ」と主張するなど、今日の貧困と格差を生み出した政策の後押しをしてきた政治家です。
規制緩和を中心とした「改革」こそ、投機マネーの暴走にみられるような“金融資本主義の行き過ぎ”を生んだのですから、鳩山氏もみずからの責任を自問してしかるべきです。いずれにしても、「資本主義」の悪影響に言及せざるをえないほど、財界・大企業本位の政治が行き詰まっていることの告白ではあります。
一方、同大会に来賓として招待された大橋光夫日本経団連評議員会副議長・政治対策委員長(昭和電工会長)は、「責任政党として改革に全力をあげていただきたい」とのべ、いっそう「構造改革」をすすめる「政治のリーダーシップ」を民主党に期待しました。同党の活動方針も「経済団体からの民主党への期待は高まっている」と、財界からの期待をおおいに“自覚”しています。
いくら鳩山氏が“資本主義の行き詰まり”を嘆いても、政治献金で財界と深く結びついた自民・民主の「二大政党」に、その打開を期待することはできません。(林信誠)