2008年1月20日(日)「しんぶん赤旗」

ここが知りたい特集 道路特定財源と暫定税率

どう考える道路特定財源


 十年間で五十九兆円を道路だけに使い切る―。道路特定財源の見直しが通常国会の焦点の一つになっています。政府・与党は、ガソリン税などに上乗せされた暫定税率を十年間延長したうえで、道路建設を続けるために巨額な税収を温存する方針です。本当にそれでいいのでしょうか。Q&A方式で考えてみましょう。(矢守一英)


どんなもの

 道路特定財源とはどのようなものですか。

A.道路だけに税金使う仕組み

 道路特定財源とは、ガソリン税(揮発油税と地方道路税)、自動車重量税など自動車関連の税金を道路建設・整備だけに使う仕組みです。一九五三年に田中角栄氏ら自民党議員の議員立法によって導入されました。

 財源はガソリン税のほか八税目で構成され、国と地方に配分されます。〇七年度予算では三・四兆円(国税分)、二・二兆円(地方分)の合計五・六兆円。〇八年度予算案では、三・三兆円(同)、二・一兆円(同)の合計五・四兆円にのぼります。

 ガソリン税などには、特別措置として本来の税率より上乗せした税率が適用されています(税額は約二・七兆円)。例えば揮発油税の本来の税額は一リットル当たり二十四・三円ですが同じ額を上乗せして四十八・六円になっています。上乗せ分がなくなれば、ガソリンの小売価格も一リットル当たり二十五円ほど安くなります。この税率は、ガソリン税は三月末に、自動車重量税は四月末にそれぞれ期限切れを迎えます。

グラフ

政府案とは

 政府・与党の「見直し」案はどんな内容なのですか。

A.10年で59兆円使い切る計画

 政府・与党の見直し案は、ガソリン税などの暫定税率を、〇八年度から十年間延長し、「道路の中期計画」を策定して道路整備を進めるというのが柱です。総額五十九兆円、年間約六兆円もの財源を十年間にわたって道路だけで使い切る計画です。

 どのような道路をつくろうとしているのでしょうか。国土交通省がまとめた「道路の中期計画(素案)」(〇七年十一月)には、通学路の歩道整備や踏切の安全対策など国民の暮らしと安全に欠かせない施策も盛り込まれています。

 その一方で、政策課題の筆頭に「国際競争力の確保」を掲げ、「基幹ネットワークの整備」として高速道路や物流関連の大型道路建設を促進しようとしています。

 〇八年度予算案でも、国と地方が税金を投入して建設する「新直轄方式」の高速道路に千六百七十六億円、港湾・空港の物流アクセス道路整備に千九百七億円(いずれも国費)が盛り込まれています。

 道路以外にも使えるようにする一般財源化は、千九百二十七億円(〇八年度予算案)と税収全体のわずか6%にとどまっています。使い道も自動車関連の整備に限定されています。

共産党は

 日本共産党はどう考えていますか。

A.一般財源化し暫定税率は廃止

 日本共産党は道路特定財源はやめて一般財源化し、道路にも、福祉、教育にも使えるようにすることを求めています。

 十年間に五十九兆円も道路整備に使う「総額先にありき」の「道路中期計画」は撤回するべきです。

 暫定税率については、「道路特定財源をさらに上乗せして、無駄な道路をつくることを加速する役割を果たしてきた」(志位和夫委員長、六日、NHKの「日曜討論」)として廃止を主張しています。

 自民、公明両党が暫定税率の延長を主張するのに対し、民主党は反対しています。

 志位委員長は「反対ということでは(民主党と)一致すると思いますが、ただ、私たちは無駄な道路はつくるのはやめるべきだという立場です」(同)とのべ、不要不急の道路建設を見直す政策への転換を呼びかけています。

 政府は「真に必要な道路を整備する」といいます。問題はその道路がだれにとって必要なのかということです。

 歩車道の区別のない危険な通学路の道幅を広げたり、防災・防雪対策の生活道路の整備は当然であり、緊急性が求められます。

 それに対し、空港・港湾のアクセス道路整備ははどうか。政府の計画は十分以内に高速道路などへの到達が可能になることを目標にするとしています。加えて国際標準コンテナ用の車両が通れるように橋を補強したり、道路の幅を広げるという内容です。物流機能の強化をうたって推進されるスーパー中枢港湾整備と一体の事業でもあり、喜ぶのは関係業界です。生活関連に優先して整備する必要はありません。

整備遅れ?

 道路整備は遅れているから、特定財源は必要という声がありますが。

A.本当に必要な道路は一般財源で

 地方自治体を中心に道路整備を求める声は根強くあります。

 暫定税率を廃止すると地方の道路整備にも支障が出るといいます。しかし、地方の道路建設についても、国民の暮らしに役に立つ緊急性の高いものに限ったり、「国際競争力」を口実にした無駄な高規格道路計画を中止すれば、総額も減らすことができ、予算に穴があくこともありません。

 本当に必要な道路は一般財源で建設することができます。

 上乗せされた暫定税率を「やめた方がよい」が61・1%(「読売」一月十六日付)など、現状のままで道路をつくり続けることに批判的な見方が広がっています。

 そもそも、道路特定財源は、国道と都道府県道の舗装率が5%しかなかった五十数年前に、「整備が急務だ」という理由でスタートした制度です。

 日本の道路整備状況は、道路舗装率が97%に達し、道路密度(国土面積当たり道路延長)で比較すると、フランスの二倍、ドイツの五倍弱など欧米諸国を上回る水準にまでなっています。道路特定財源を続ける理由はありません。

グラフ

「環境税」は

 「環境税」などエネルギー課税はどうするのですか。

A.COを考慮

 先にふれたように日本共産党は、無駄な道路をつくり続ける“自動装置”になっている道路特定財源は一般財源化し、上乗せされた暫定税率はやめるという考え方です。そのうえで、エネルギー課税については考える必要があります。

 現行のエネルギー課税のあり方を抜本的に見直し二酸化炭素(CO)の排出量を考慮した環境税を導入することを提言しています。

表


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